10年ほど前、まだ現役で働いていた頃です。

NYにいるその会社のオーナー夫妻が来日するので、旅行プランを作ってくれという連絡がありました。全てを1週間で周りたい、というのです。普通の交通機関を使ったら、どう急ぎ足でも2週間はかかる旅程です。結局ヘリとセスナを用意することになったのですが。

その地方のデスティネーションがいくつか記されたリストには、直島や金沢21世紀美術館が入っていました。奥さんが建築評論家だとは聞いていたのですが、日本の地方都市の美術館がNYまで知れているのか、と少々驚きました。

そのリストには正倉院の名もあって、「それは天皇家でも内部は自由には見られませんよ」と返事しました。いかにもアメリカの大富豪らしいご愛嬌です。

実は、直島や金沢21世紀美術館ばかりでなく、地方には「これは!」という美術館が数多くあります。館自体が有名建築家の作品だったり、コレクションがユニークだったり。東京にいると大混雑する有名美術館の海外作品特別展にばかり目を奪われがちですが、じっくりと作品を楽しみ、美術館自体を鑑賞出来る極上のスポットです。

さらに、ここ10年、地方の宿(オーベルジュや温泉旅館も含めて)は、進化を続けています。もちろん、1920~30年代の木造ホテルも残っています。あの建築家がデザインしたホテルや旅館があります。お湯と料理にばかり気をとられていたら、地方の宿はとんでもなく進化していたのです。

目に楽しく、眼を豊かにする旅です。

text:編集長 斎藤和弘

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