鮨とシチリア・ワインのペアリング。うーん、発見多し!?

ワイン縦横無尽 #27

イタリア半島のつま先の、その先に浮かぶシチリア島から、この島に5つのエステイト(=ワイナリー)を所有するタスカ・ダルメリータ伯爵家7代目のアルベルト伯爵が来日した。

これを機に銀座の有名寿司店『久兵衛』にてプレスランチが開催され、我輩もその末席に。

「日本の“旨味”と私たちが造るワインとのペアリングを探求したい」というアルベルト伯爵は、日本の食文化を知るために、日本酒、ビール、それにお茶まで研究したそうな。

「和食では小さな皿に、いくつも風味の異なる料理が並べられるので、1本のワインで通すのは難しい。汎用性の高いワインを選ぶか、あるいはボトルではなく、タイプの異なるワインをグラスで注文し、ひとつひとつ組み合わせるのがいいでしょう」とのこと。実は私も、とくに寿司には数種類のグラスワインを同時に並べて楽しみたいものだとつねづね思っていた。伯爵、さすがですな。

さて、ランチは瓶内二次発酵の伝統的製法で造られたスプマンテ『アルメリータ・ブリュット』から始まった。品種はシャルドネ100パーセントで、瓶内熟成期間は約24ヶ月。南イタリアのスプマンテだから、さぞどっしりしているだろうと覚悟したが、実際にはフレッシュで生き生き。

寿司に入る前にカツオのタタキが登場し、ここで手痛い失敗をしでかした。板前さんが「カツオにニンニク入れます?」と聞いてきたので、「イタリアワインだし、ニンニク上等!」とお願いしたのがいけなかった。生のすり下ろしニンニクがたっぷりと、ふたつに割った身の間に塗りこまれていたのだ。このスプマンテならむしろ、箸休めのワカメのヨード感がぴったり。

次のワインは日本未入荷の『グリッロ・モツィア』。じつはこの日に味わったワインの中で、私がもっとも惚れ込んだのがこれ。マルサラから数キロの沖にある小さな島モツィアで栽培されたブドウを、小舟に載せてシチリア本島まで運び醸造しているという。

『グリッロ・モツィア』

島はマルサラ酒で財をなしたウィタカー財団の所有物。古代フェニキア人の遺跡があり、島全体が考古学博物館のようになっている。ウィタカー財団から通常の3~4倍の値段でブドウを買い取り、ワインに醸造。販売利益の一部を島の遺跡保護のため寄付しているそうだ。

ワインは熟した柑橘系のアロマをもち、凝縮した果実味をもつ一方、フレッシュ感も抜群。日本未入荷なのがはなはだ残念。繊細なサヨリとの相性も悪くない。