今年全国各地で開催されたアートフェスではピカイチの内容、「岡山芸術交流2016」の同時代性

アートうたかたの記 #8

©Okayama Art Summit 2016
Photo: Hiroyasu Matsu

夏から秋にかけて各地で開催されたアートフェスティバルの中でも、特にエクストリームな特徴を打ち出していた『岡山芸術交流2016』。

岡山城周辺の徒歩15分圏内に展示が集中しているため、筆者は急ぎ足で回ったこともあり、約150分でほぼすべての作品を観覧することができた。(ドミニク・ゴンザレス=フォースターの映画館での作品上映を除く)

週末の小旅行や近所の散歩がてら、ふらりと足を伸ばせるこのコンパクトさ、非常にスマートで現代的な都市型のアートイベントといえる。

それでいて内容は濃く、出展作品全体のアベレージのクオリティは今年開催されている芸術祭の中でもピカイチだった。

それもそのはずで、完全に欧米を主流とする国際的アートシーンのコンテクストで構成され、アーティスティックディレクターには英国人アーティストのリアム・ギリックを迎えている。

ここで前提として承知しておいてほしいのが、現代美術とマーケットの中心地はいまも厳然として欧米にあり、美術史の文脈はそのメインストリームで形成されているということだ。

世界各地(中東、アジア、中南米、アフリカなど)から稀代の素晴らしいアーティストが登場したとしても、欧米の文脈に乗らない限り、“大文字の”美術史の年表に名を残すことはない、と言ってしまっていいだろう。

そんなアートワールドの今シーズンの終わりを告げるゲームの1つが、日本の岡山市という超ピンポイントのサテライト会場で開催された、というのが本展のグローバルな視点で見た座標だ。

こうした前提で『岡山芸術交流2016』を観てみると、出展作家のチョイスやインスタレーションの洗練ぶりに頷けるはずだ。

とりわけ美術関係者から高い評価を受けている点は、アーティスティックディレクターリアム・ギリックが、自身が選んだきわめてコンセプチュアルでハードコアな作品を、それ以上に注意深く選んだスペシフィックな場所に設置していったことにあると思う。

なかでも印象に残った作品を挙げてみたい。

タイ人アーティストのリクリット・ティラヴァーニャは、岡山城趾公園の天守閣前の広場に、ジャングルジムのような迷路をつくり、その中央にミラー張りの茶室を設置した。

untitled 2016
(this is A
this is not A
this is both A and not‐A
this is neither A nor not‐A), 2016
お茶会は11/13(11時、12時、13時、14時)、11/27(13時、14時、15時、16時)開催。
各回定員5名(1名500円)当日現地受付(先着順)。

周囲の風景を全部映しこんでその存在を消した箱の中で、洗練の極みともいえる茶道のもてなしを通して、凝縮された体験が生まれる作品だ。

“同じ空間で、同じ空気を吸い、同じ料理を食べること”を創作の基盤としてきたリレーショナルアートの旗手は、“もてなし”のあり方をめぐり机上の空論を繰り返す現代日本人に、いま一度、関係性とエネルギーの循環について思考する場を与えてくれる。