日本が誇るジーンズのセルビッチは無用の長物!?

しかし最近のジーンズ業界はセルビッチの本来の機能を忘れ、ただ格好いいから、流行だからという理由だけで、どんなジーンズにもセルビッチをつけてしまう傾向があるようだ。

その顕著な例が、セルビッチ付きのホワイトジーンズというアイテムだろう。ご存じのようにホワイトジーンズは1960年代に、お洒落なアイビーカレッジの学生に向けて作られた細みのジーンズ。これにセルビッチをつけて、内股の余った布をカットしてスリムに仕上げました、というのでは、機能美を無視した場当たり的な設計と思われてもしかたがない。

どうせホワイトジーンズを作るなら、1960年代にリーバイスが出したスタプレストのように、セッルビッチなどにこだわらず、センタークリースに沿ってきちんと地の目を通したスマートなジーンズを作るべきである。

そんなことを考えながら、Kolor/BEACONの2017SSコレクションをのぞきにいったら、さすがトレンドの返しワザに長けたデザイナーの阿部潤一さん! セルビッチなしの素晴らしい細みのジーンズをラインアップしてくれていた。

このジーンズの右脚に御注目を。前身頃の中央で、センタークリースをつけたように色をはっきり変えている。しかもその部分をよく見ると、センターラインにそってしっかりと地の目を通しているから、美しいスリムラインが現出するわけである。

インディゴブルーを二つの濃淡に使い分けたのは、デザイン的なものが主であることは言うまでもないが、筆者にはそれが、セルビッチ偏重のマーケットに対するアンチテーゼのように見え、思わずニヤリとしてしまったのである。