映画『君の名は。』を日本酒の視点から考察してみると!?

佐渡からの日本酒通信 #15

酒と映画の関係は昔から深いものがあります。小道具として登場したり後世に残る名セリフを生んだりと、映画作品からその名を知られるようになった酒は数知れず。酒の役割を考えながら映画を見るのも、なかなか面白いものです。

その中でも、先日見た映画『君の名は。』(新海誠監督作品)に見る日本酒の役割は特に興味深いものがありました。今回は映画『君の名は。』と日本酒の関係を、勝手な思い込み満載で考察してみたいと思います。

まず主人公の女子高生の名前が酒の世界に誘ってくれます。彼女の名前は宮水三葉。「宮水」とは、酒造りに適した水として古くから知られている名水です。

宮水の名を受け継ぐ三葉は、代々宮司を務める家の娘。地元の祭りになると巫女のいでたちで神社で舞い、おもむろに神台に盛ってある米を口に含んで噛み、升の中に吐き出す。米と唾液が混ざったそれは、壺に入れられ、やがて酒に変化する……。これは酒のはじまりと言われる「口噛み酒」で、ご神体に奉納する酒を昔の方法を再現して造っているのです。

日本酒は米から造るわけですが、米のままではアルコールは生まれません。例えばワインが出来るのは、原料である葡萄に含まれている糖分によって酵母が発酵を行うのですが、日本酒に使うお米自体には糖分がないため、蒸したお米に麹菌をかけることによって米のデンプン質を糖化するという作業が必要になります。「口噛み酒」は、その「麹菌」の代わりに唾液に含まれるアミラーゼという酵素で米のデンプンを糖に分解しているのです。

そして口の中で噛み砕いた米を壺に入れる際に、自然界にある野生酵母(この場合は宮水家に代々伝わる「家付き酵母」でしょうか)が付着することによってアルコール発酵する。それが大まかな「口噛み酒」のレシピです。昔は若い淑女がその役割を担ったと言われています。