芸術の本質とは何か、愛の本質とは何か、その接点について考えてみた

ところで、人の自我とは、その人にまつわる様々な場所で作られる様々な物語の集合からできているのだと思う。現実の世界でその物語を作って集めるのは、それなりの努力が必要になる。

でも、無数の花が自分の周りをゆっくり回る球状の世界では、つぎつぎに物語が多様な花の形で提示され、自分はその好きな花を適当に選んでそれを見つめるだけで、自分の物語として取り込むことができ、そこに自我を見つけることができる。そして、選択によって自分の物語として受け入れると同時に、物語が存在するその世界に溶け出し、世界とも一体化できるのである。

もしその隣に異性がいれば、その人も同様に物語を選びながら、その世界に溶け出し、二人は溶け出した世界で緩く、時に激しく繋がっていく。それが愛というようなものかもしれない。

愛があれば、二人は他人から隔離された二人だけの世界を作り出す。一方で二人を取り込んでしまう芸術空間は、その二人に愛に似たような感覚を与えることができる。

人が選択によって自分の物語を発見し、新たな自我を見つけると共にその空間に溶け出していくことができる空間、そういった空間をいろいろ作り出せれば、今よりもっと楽しく人間の多様な可能性に満ちた世界がやってくるように思える。

Photo:teamLab