アマゾンで30 万円の高級靴を買う人がいるなんて!?

以前の筆者なら、テーラードジャケットを通販で買うなんて考えられない、と書いただろうが、ここは別だ。カタログのサイズチャートがしっかりしているし、迷ったときもオペレーターが親切に対応してくれるからだ。

プレスの方に返品された品のダメージについて質問したところ、「お客様は皆さん、丁寧に畳み直して返品してくださいます」という答えが返ってきた。日本人はまだ米国人ほど、返品に関してはドライな態度に徹していないことを知り、少しほっとした。

靴も服も、価格の高低にかかわらず、さまざまな人がそれなりに手をかけて製造したもの。それを、自分の意に添わないからといってぞんざいに返品するのは、マナー的にいかがなものかと筆者は懸念していたのである。

否、そんなことよりも、最初は窮屈に感じても一日1時間から始め、徐々に履く時間を延ばし、1から2週間ほどかけて自分の足にジャストフィットさせる、というような頑固な製法で作られた高級靴を、後先考えずに通販へ出品するほうにも「?」マークが点灯してしまう。いくら売上が伸びるからといっても、これでは大切に育ててきた高級靴市場をみずから荒らすようなものではないか。

自分の人生をともに歩む伴侶を見つけるために店へ足を運び、専門家の意見をじっくり聞きながら最適な靴を1足選ぶ。筆者はその愉しみを、ワンクリックで『放棄』してしまうつもりはない。

でも、絶版になった古い服飾用資料を見つけるときなどは、アマゾンさんにとてもお世話になっているのだけどね。