アマゾンで30 万円の高級靴を買う人がいるなんて!?

モード逍遥 #14

オンライン店舗で靴を買う人がいるのだろうか? 靴は服よりもサイズ合わせが繊細だからである。しかし実際はネット通販で靴を買う人は多いらしい。その実数と今後の伸びしろに注目し、靴主体のオンラインストア『ザッポス』を成功させたのが若き企業化トニー・シェイだった。

ところが日本のアマゾンでは、トニー・シェイも「ワォ!」と驚く現象が起こっている。なんと、オールデン、ハインリッヒ・ディンケルアッカーといった名品から、クロコダイルのオックスフォードシューズまで、7万から30万円ほどの高級靴がウェブ上にラインアップされ、売れているというのである。

心配なのは、シューフィッターがアドバイスしても接客に30分から60分ほどかかるといわれる高級靴のフィッティングを、通販でどう対応するかという部分である。

危惧した通り、その効果的な対策はなく、サイズが合わなければ返品自由、という従来の顧客ファースト的なシステムがあるだけ。しかし返品された靴のなかには、保護用の薄紙や柔らかな布製の袋に包まずに返されてきたために、細かな傷がついて販売不能になった靴も少なくない。そのリスクはすべて出品者側が負っているらしい。

米国における通信販売の歴史は古く、1872年にアーロン・モンゴメリー・ウォードが商品カタログを発行したことから始まる。1920年代に発行されたシアーズ・ローバックのカタログは1,000ページを超え、生活用品のほとんどを網羅していた。

米国の通販事情に詳しいベテランのファッション編集者である小暮昌弘さんによれば、米国は通販で購入した品が気に入らなければ返品は当たり前、というのが常識だという。なかにはパーティで着用した後に、返品する剛の者もいるらしい。それも試着の範囲だというのが彼らの言い分である。