最初にお世話になった人のことは、忘れないものだ!?

心のふきだし #32

最初にお世話になった人のことは、忘れないものだ!?

以前広告会社を立ち上げたとき、大手広告会社と組んで設立はしたものの、心のどこかで不安だった。長年勤めた老舗の広告会社を辞めての独立だった。周りのメディアの人たちは驚き、応援してくれたけれど、中には冷ややかな人もいた。

「パートナーの大手の会社に、いいようにいいようにやられたんじゃないの?」と面と向かって言う人もいた。

実際、事務所をオープンしても、今まであたりまえに伝えられていた出版社の情報も、なかなか送られて来ない。社員を募っても、出来たばかりの会社にすぐに入社してくれる人もいない。メディアの人たちを招いた事務所オープンのパーティは、持ち主のいない机ばかりが目立ってしまった。

たくさんの人が集まってくれたけれど、「まだほとんど社員がいないのね」と心配された。会社を立ち上げた役員しかいなかったので、タイトルが重すぎて現場は担当しないのだろうと思われたのだった。広告会社は実際クライアントを担当する現場の担当がいないと、回っていかないからだ。

そのように、この先どうなるかわからないような私たちにも、手を差し伸べてくれる会社があった。ある出版社だったが、まだ出来たばかりの私たちに対して、ありえない好条件を出してくれた。通常はある程度の仕事の量が見えて、やっと交渉という形になって獲得できる条件を、最初から何もない私たちに差し出してくれたのだ。

その会社の人たちとは独立する前の会社でも長く仕事をしていた。向こうが困った時には、出来る限りのことを協力し、持ちつ持たれつの関係を続けていたのだ。そういう人間関係が作れていたからこそではあるけれど、このことは不安でいっぱいな日々の中、大きな励みになった。

仕事は毎日のようにプレゼンテーションを重ねて、一社ずつ獲得していった。その結果、数多くのクライアントが獲得出来た。先ほどの出版社と同様、私たちにすぐに仕事を出してくれたクライアントにも、感謝してもしきれない。そのおかげで、会社は思ったより早く軌道に乗ることが出来た。

そうすると不思議なもので、それまで冷ややかだった人たちも途端にこちらに目を向け、情報をくれるようになったのだ。設立して間もない会社だから、ありがたいことだった。

けれども、最初から私たちを応援してくれて、目に見える好条件を出してくれた会社の人たちのことは忘れられない。会社が成長できたのも、そのことがきっかけだったと思っている。