チリカベの最高峰コンチャ・イ・トロの『ドン・メルチョー』。’88年は絶品である

ワイン縦横無尽 #22

チリカベことチリのカベルネ・ソーヴィニヨンと聞けば、「あの安くてなかなかいけるやつね」と誰しも思う。つまりボルドーの格付けシャトーやカリフォルニアのカルトワインほどの高級感はないけれど、値段のわりに質が高いというイメージだ。

ところがチリカベが日本を席巻した97年を遡ること10年、すでにチリではボルドーの格付けシャトーも真っ青の、素晴らしいワインが造られていたのである。その名を「ドン・メルチョー」という。

ドン・メルチョーはチリのNo.1ワイナリー、コンチャ・イ・トロのフラッグシップとして87年に誕生。アンデス山脈の麓、マイポ・ヴァレーのプエンテ・アルトで栽培されるカベルネ・ソーヴィニヨンを用い、シャトー・ラフィット・ロッチルドやシャトー・ラトゥールのコンサルタントとして名を馳せた故ジャック・ボワスノの助言により造られた。

今日、このワインを手掛けるのは、96年入社のエンリケ・ティラド。コンサルタントは父ジャックの後を継ぎ、ボルドーの名だたるシャトーを顧客にもつエリック・ボワスノが務めている。

ブドウ畑はマイポ川によって形成された河岸段丘にあり、土壌は沖積土。おしなべて石ころの多い痩せた土地だが、石の大きさや量、砂や粘土の比率により、大きく分けて7つ、細かく分けると142もの区画になる。これら異なる区画のワインを組み合わせることにより、複雑な構造をもつドン・メルチョーが生み出されるのだ。