“水くさい”関係のままか“水入らず”な間柄になれるのか!? まずは、ささ、おひとつどうぞ

佐渡からの日本酒通信 #13

「ささ、おひとつどうぞ」

酒席でよく聞くフレーズです。「ささ」とつぶやきながら、双方の盃に酒を注ぎ合う。日本的マナーに溢れたこの行為、少々おしつけがましく感じられるからと牽制する人もなきにしもあらず。かくいう私も若かりし頃、ちょっぴり窮屈に感じたことがございます。

けれど見方を変えてみるならば、盃のやり取りを通して交流を深められるのは、日本酒ならではのコミュニケーション。しかも、このやり取りからビジネスチャンスが生まれるかもしれないとなれば、身が入るってもんじゃありませんか。いやいや、それどころか熱い恋が芽生える、なんてこともある、かもしれないのでございます。

ならば早速、ささ、おひとつどうぞ。ところで、そもそも「ささ」って何のこと?

「ささ」とは「酒」を意味する言葉です。その昔、中国でお酒のことを「竹の葉」と呼んだからとか、「さけ」の「さ」を重ねたものだとか語源は諸説ありますが、要するに心の中で「お酒をおひとつどうぞ」と唱えることが肝要です。意味合いをわかって言葉を発すればお酌の重みも変わります。いやいや、お酒の質まで変わるような気がしてはきませんか。ささ、もひとつどうぞ。

酒席で気を配らねばならぬ一つが席次です。上位の方は遥か彼方にいらっしゃる。下々の者にはいかにも遠い存在です。しかし、諦めるには早すぎる。忘れていやしませんか? お酌文化には素晴らしいルールがあることを。すなわち、ご献酌からのお流れ頂戴。下々の者が「ささ……」とつぶやきながら上位の方にお酒を注ぐことが許されるのです。