600年前の建物がデザインホテルに変身!? チューリヒの『マルクトガッセ・ホテル』

宿泊者の欲望 #30

チューリヒはスイスの首都と勘違いされるほど国随一の大都会だ。ローマ人によって創建されたこの街には、旧市街として保存され、中世の建物が並ぶ一角が残されている。街全体は近代的で美しい街であり、リマト川を中心に右岸と左岸に別れ、やがてその川はチューリヒ湖へと続いている。

街の中心を占める旧市街のリマト川右岸には、街最大の繁華街と言われる一角がある。その賑々しい通り、マルクトガッセ(マーケット小径)に面して建つのが、『マルクトガッセ・ホテル・チューリヒ』だ。

ホテル外観/中世の建物を数軒合わせてひとつのホテルに大改装。
Photo:Marktgasse Hotel

実はこのホテル、600年も前に建造された建物3軒がひとつのホテルになっている。床や天井の高さの異なる隣り合う建物3軒をつなぎ合わせるという、難しい大規模改修工事を丁寧に行い、2015年9月にオープンした。床の段差や建物の雰囲気の違いは敢えてホテルの魅力と捉え、随所に歴史の証拠として残してある。

白に統一されたレセプションには、当時のフレスコ壁画や、昔のままの天井の装飾がスタイリッシュなデザインと共存している。一方、ホテルの外観は、歴史的保存地区の建物のため壊すことは叶わず、中世のままに時を刻んでいる。