私が最も泊まりたかったスイスのホテル!? かくも厳しく美しき峠に建つ、ホテル・グリムゼル・ホスピーツ

宿泊者の欲望 #28

最も泊まりたかったホテルのひとつ「グリムゼル・ホスピーツ」に、長い間の念願が叶い宿泊できた。

その昔、ホスピーツ(病院のような宿泊所)として遭難者や病人などを助ける役目を持っていた山岳ホテルだ。グリムゼルパス(峠)の頂上は標高2,165m、グリムゼル・ホスピーツはその頂にひっそりと立っている。ホスピタル(病院)やホスピタリティ(もてなし)は、このホスピーツと同じ語源だ。

朝焼けのホテル/標高2,165mの地に建つ早朝のグリムゼル・ホスピーツ。空気は真夏でも15℃、清々しい。
Photo:Kyoko Sekine

ここまで到達するには、スイスの小さな田舎町マイリンゲンからは郵便バスが出ている。マイリンゲンと言えば、シャーロック・ホームズがライヒェンバッハの滝から悪漢モリアーティと揉み合って落とされた場所。そのモデルとなった大滝は現存し、マイリンゲンには彼の博物館もあり英国人がよく訪れる。

さて、そのマイリンゲンからバスはU字谷越えを何度も繰り返し、グングンと高度を上げながらグリムゼル湖(水力発電用ダム湖)へと向かう。頂上に着けばグリムゼル・ホスピーツが佇んでいる。

このグリムゼル・ホスピーツが、1142年、スイス初のホテルとして国の認可を得たと知れば、いかに強固な建てものが長い歴史を経てきたか、またスイスが登山家達をいかに守ろうとしてきたかが分かる。