イタリアの美しきトラウザースは、小便小僧を抑圧している!?

モード逍遥 #8

小便小僧の彫像は、爆弾の導火線の火を消すために、とっさの機転で小便をかけた少年を讃えて建てられたものだと、何かの本で読んだ記憶がある。

ところで最近、トイレに行って小用をたすときに不便を感じたことはないだろうか。大きさを自慢しているわけではもちろんないが、筆者は我が息子を引っ張り出すのが以前より難しくなった気がするのである。

こうした不便を感じるようになったのは、イタリア製トラウザースの良さが認められた1990年代中盤から少しずつ始まり、2000年代にローライズパンツが流行することによって加速したように思う。

インコテックやロータなど、イタリアのトラウザース専業メーカーの高額製品が輸入され始めた当初は、その際立ったシルエットの美しさに業界は目を見張ったものだ。なかでもクリースラインが上から下までまっすぐに通って同じ地点へ落ちる点に注目が集まった。

そこで言われ出したのが、地の目を通す、ということだった。地の目とは生地の糸目のこと。生地はたて糸とよこ糸で構成されるが、クリースラインの線にそって、生地のたて糸の地の目をまっすぐに通してやれば、美しいラインの製品が出来るというわけである。