アウディの自動運転技術開発は着々と進んでいる

自動運転技術の主導権争いが加熱していくなかで、着々と開発をすすめている自動車メーカーのひとつがアウディである。実はアウディはVWグループの中で、自動運転に関する研究開発の旗振り役を担っているのだ。今回は自動運転技術について。

アウディは自動運転技術に関するデモンストレーションを実施してきた。2009年、アメリカ・ユタ州のソルトレイクで自動運転機能のテストを実施する。当日用意されたのはアウディ TTSのニックネームは『Shelley』。

Audi RS 7 piloted driving concept Dynamic photo

ソルトレイクを疾走する『Shelley』は自動運転とは思えない走りをしていた。検索すると『Shelley』が疾走している動画が見つかるはずなので、まだ見たことのない方はぜひチェックして欲しい。ソルトレイクの表面に綺麗な円を描いて、アウディのロゴマークであるフォーリングスを作るのはコンピュータならではの正確な仕事なのかもしれない。

翌年の2010年にはさらなるサプライズが。アウディは世界的に有名なヒルクライムコースである、パイクスピークを『Shelley』の自動運転で登頂することに成功した。パイクスピークの約20kmのコースには、全部で156のコーナーがある難関コースを、『Shelley』は27分でゴールする。センターラインを割らないで、確実にコーナリングしていくその姿は無人車両とは到底思えないそれだった。

その後も、ドイツツーリングカー選手権(DTM)の最終戦が行われるホッケンハイムサーキットで、『Bobby』と名付けられてRS7自動運転コンセプトによりデモンストレーションを行ったり、アメリカのハイウェイやドイツのアウトバーンでの実証実験を行っている。

自動運転技術に関する成果は、すでに市販車に幾つかの先進装備として搭載されている。アダプティブクルーズコントロール、アクティブレーンアシスト、サイドアシスト、トラフィックジャムアシスト等の恩恵を受けているドライバーも少なくないのではないか。

Audi A7 Sportback piloted driving concept

実は、私もアダプティブクルーズコントロールを使う頻度が高いドライバーの一人。楽に安全に運転できることを知ってしまってからはかなりの頻度で使用している。「自分で運転しないと楽しくないだろう?」と話していた友人も、今では欠かせない装備となっている。

今後、自動運転技術の開発が進めば、自分の車の周りの状況をより緻密にモニターすることによって、より安心安全に運転出来るようになるだろう。まだまだぎこちなさが残る加速/減速のフィーリングもより自然になるだろう。

そんな矢先、アメリカのEVメーカー、テスラ・モーターズ『モデルS』が自動運転モードで走行中に大型トレーラーと衝突事故を起こしドライバーが死亡した。自動運転モードとは言っても、TV番組ナイトライダーのように車が自立して走行するわけではない。あくまでもドライバーをアシストする機能でしかないのだ。

完全自動走行技術が確立するまでは、どんな運転支援技術も、ドライバーをアシストするだけで、ハンドルを握る責任はドライバーにあることをあらためて認識する必要があるだろう。CMで流れている“自動運転”の言葉に惑わされないように。

Photos:Audi