ファッション業界の「今、そこにある危機」からの脱出法はあるのか!?

砂漠のような東京でも…
週刊ファッション日記 #19

ごくたまにではあるが、ファッション&アパレル業界の最新動向について話してくれないかという講演依頼がある。そのときに必ずクギを刺される。

「あまりネガティブなことは避けてください。なんか明るくなって希望の光が見えてくるような話をお願いします」。

話す相手が大学生とか新入社員だったらそれもアリだろうが、状況はもはやそんなレベルではない。
例えば、いわゆる大手アパレルの1社である三陽商会は最近、6月中間決算の大幅下方修正を行い、同時に同社従業員1,350人の約19%にあたる250人規模の早期退職募集を発表した。同社は2013年1月にも約230人の希望退職を募っていた。原因は昨年の春夏でライセンス契約が終了した『バーバリー ロンドン』である。

最初のリストラは“予防”のためであり、2回目のリストラはその穴埋めの”結果”が思わしくなかったためである。同社は『マッキントッシュ ロンドン』を『バーバリー ロンドン』の穴埋めに充てたのだが、期待を下回ったのだ。

昨年から大手アパレルでは、トップ企業のオンワードホールディングを除き、ワールド、TSIホールディングス、三陽商会、イトキンと全て200~500人規模の早期退職募集、200~500店規模の店舗閉鎖、5~10のブランドスクラップが行われたことになる。

30年以上この業界を見てきたが、こんなに市場が悪いのは記憶にない。昔、ハリソン・フォード主演の『今、そこにある危機』という映画があったが、そんな感じである。“不況”というのでもない。“不況”なら自律反転して“好況”がやってくるのだがそんな兆しは見えない。これは派手なカタストロフィーがない“静かなる恐慌”なのではないかという気さえしてくるのである。

フランスの諺に「楽天主義者は陽気な馬鹿、悲観論者は陰気な馬鹿」というのがある。この諺は何が言いたいのかというと、「現実主義者だけが生き残る」ということである。現実主義者とは何か? 生き残るためなら多少の犠牲は甘んじて払う。もちろん期初の夢にこだわるなんてことはない。そういうことである。例えばこの業界で現実主義の鑑ともいうべき2つの例がある。