日本中で、まさに百花繚乱のアート・フェスティバル

ビエンナーレ、トリエンナーレ、芸術祭など呼び名や形式はさまざまだが、国際美術展は今まさに百花繚乱、日本中で林立している。

町おこしの色彩が強い地元密着型、あるいは、国内外から有名アーティストを集めて祝祭ムードを盛り上げるフェスティバル型と、時代と共にそのスタイルは変容(迷走?)してきた。

今年夏以降、開催が予定されている芸術祭とその見どころを紹介したい。

「なぜそこにアートが必要なのか?」という原点に返り、土地の特色を生かし、社会や生活に密接に関わるコンセプトを掲げていることに注目してほしい。

 

瀬戸内国際芸術祭

春・夏・秋会期と季節ごとに訪れたい瀬戸内のおだやかな風土。ゆっくりと流れる「島時間」に身体のリズムを合わせて、へたに欲張らないのがコツだ。(実際、島を行き来する船の便も宿も少ないのですばやくは動けない)

今年の目玉はなんといっても、これまでも直島にいくつもの濃厚な足跡を残してきた大竹伸朗の新作だろう。

大竹伸朗「針工場」 写真:宮脇慎太郎
大竹伸朗「針工場」
写真:宮脇慎太郎

香川県豊島の旧・針工場に、愛媛県宇和島で約30年前に造られた全長17mを超す木製の船型が運び込まれた。

さらに作家の手で、過剰なまでに重奏的な記憶の上貼りが施され、「巨大なコラージュ作品」ともいえる空間が設えられた。

また、スープストックトウキョウなどを運営する「スマイルズ」企画による「檸檬ホテル」も、土地の恵みをめぐり、ささやかな非日常を体験できるユニークな作品だ。

スマイルズ「檸檬ホテル」(ドローイング)
スマイルズ「檸檬ホテル」(ドローイング)

古民家を再構築した建物は、豊島産のレモンの枝葉で染めた布で覆われ、一日一組のみ宿泊することができる。レモン尽くしの料理が用意され、翌朝はレモンで染めた布の、レモン色の光のなかで目覚めるという。(檸檬ホテル公式ウェブサイト>http://lemonhotel.jp/

「力のある志高いアートは時代の変化に堪えて残る」とディレクターの北川フラム氏が語るように、毎回新しい作品が常設に加わってきたことも特徴の1つだ。

犬島「家プロジェクト」S邸 荒神明香「コンタクトレンズ」2013 写真:Takashi Homma
犬島「家プロジェクト」S邸
荒神明香「コンタクトレンズ」2013
写真:Takashi Homma

美術家・内藤礼と建築家・西沢立衛による迷える人々のサンクチュアリ「豊島美術館」、犬島「家プロジェクト」など、生涯忘れがたい体験をもたらしてくれる名作は、予定を延ばしてでも訪れる価値がある。

海外のアート関係者の多くが、東京をスルーして、先ず目指すのが瀬戸内であることも頷ける。
幾度となく訪れたい、世界に誇るアートの巡礼地だ。

http://setouchi-artfest.jp/

 

あいちトリエンナーレ2016
虹のキャラヴァンサライ 創造する人間の旅

日本最大級の規模を持ち、美術はもちろん、オペラや音楽、ダンスなどパフォーミングアーツにも力点を置く芸術祭。

今年は、港千尋氏を芸術監督に迎え、未知への探求と創造を続ける人間の壮大な「旅」をテーマに、多彩なアーティストがロマンにあふれた創作の旅路を見せる。

参加アーティストの出身地はじつに中東から南米まで世界各地から。

グローバルとローカル両側の視点から、人類が知と芸術の交わる場所を探し求めてきた「キャラヴァン(隊商)」の成果を見せる展示に期待が高まる。

毎回多彩なラインナップが注目されるのが、コンテンポラリーダンスの上演作品だ。

Co. 山田うん『舞踊奇想曲 モナカ』 2015 © 羽鳥直志
Co. 山田うん『舞踊奇想曲 モナカ』 2015 © 羽鳥直志

若いダンサーたちのエネルギッシュな群舞が躍動するダンスカンパニー「Co.山田うん」は、愛知県奥三河地方で700 年以上継承される芸能神事「花祭」へのオマージュとなる新作を発表。

「Little collection of everything」 2013 Photo: Renato Mangolin
ダニ・リマ『Little collection of everything』 2013 Photo: Renato Mangolin

ブラジルの振付家、ダニ・リマの、遊びの中から日常的な物や仕草を再発見する、大人と子供のための作品も楽しそうだ。

カンパニーDCA/フィリップ・ドゥクフレ『CONTACT』 2014 photo: Laurent Philippe
カンパニーDCA/フィリップ・ドゥクフレ『CONTACT』 2014 photo: Laurent Philippe

またオリンピック開・閉会式からシルク・ドゥ・ソレイユ、ブロードウェイまで横断する、世界的舞台芸術家フィリップ・ドゥフクレ率いる「カンパニーDCA」も来日の予定。

http://aichitriennale.jp/