平均点80点の大手町の新しい町並み。「愉快な個性」があってしかるべきなんじゃ!?

B式都市論 #1

今回からスタートする「B式都市論」の「B式」は、このメディアの名前を想起させる、Byron式の略だと思ってもらってもかまわない。その「B(yron)式の美意識」でとらえるダブルミーニングの視点/観点から都市や建築を考えようという意図を込めてみた。同時にそれは、一番上に君臨するエラそうな「A」よりは、少しワケありに外した感じの「B」のニュアンスでもある。だから「B式」は時に、とり澄ました美意識から逃走して、Be Sickな病的妄想を呼び起こしつつ、空耳ではBe Chicと響いてくれたらと願う。

 

新陳代謝する首都の中心=大手町。その超高品質な無表情ビルの街並を誰もいない週末にこそ、装いを変えたい妄想が膨らむ。

日曜の午後、キミは東京駅から歩いて、大手町に立つ。多少の新鮮さと懐かしさが混じる感慨を抱きながら、キミは丸善の入ったビルを通り抜け、永代通りを左へ皇居に向かって歩く。週末の都心、オフィスはどこも休業、元気なビジネスエリートや丸の内/大手町OLたちの姿はない。

その昔、永代通りを境目に大手町OLと丸の内OLのテイストやスタイルが違うことを、キミは誰かから聞いたことを思い出したが、休日では確かめようもなく小さく舌打ちする。しかし聞いたのはかなり前、その状況がこんな建て替えラッシュになる遥か以前の古い街並の時代のおとぎ話かもしれない。

左に日本興業銀行、とその昔呼ばれていた褐色の磨かれた石の建物は、設計した村野藤吾の晩年に近い作。当時珍しかった渦巻き噴水(水の落ちる音のない渦巻くだけの見た目が不思議な静かに動く水の平面的な彫刻とも言えた)は撤去され、オープンスペースは物哀しいありさま。同じ頃に内堀通りに面して建てられた東京海上日動ビルの赤い本館は建設された40年前には、高すぎて皇居を覗けると、その目立つ色合いも含めての論争になったのも遠い記憶の彼方に。

キミは遠い目をする。その高層だったはずの建物がいまや低いビルの仲間に入ってしまった。外観を特徴づけていたレンガ色の打ち込みタイル構法は設計者・前川国男の署名のようにその後、上野の東京都美術館や各地の施設にも使われた手法。色合いも似てる。

大手町一帯は隣接する丸の内と合算すれば日本の総売上の10パーセントを占める企業が集まっているCBD(Central Business District)地区だとか。ここ数年、さらに高度化した都市にすべく建て替えラッシュに入っていて、見上げればあちこち、街並風景が一変している。

建物の表層デザインはそれぞれ違っていても、なんとなく似たような印象を受けるのは、設計組織が同じせいか、あるいは街の空気を読んだ暗黙の統一的演出のなせるワザか。どこもスマートで落ち着いた色合い、割肌の石とガラスを繊細に配置した控えめなファサードの、新しいオフィスビルのデザインが出現している。

●大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会:http://www.otemachi-marunouchi-yurakucho.jp/