ジュエラーでありながら本気のウォッチメーカー!? ブルガリの自信作「オクト」

なにしろ機械式狂いなもので #16

このコラムの#14で述べたように、スイスの時計産業は、今も分業制が主流だ。例え自社製ムーブメントを有するマニュファクチュールであっても、ビスなどの微細なパーツ、ケースやダイヤルなどの外装まで内製しているメーカーは稀。そしてそうしたムーブメントも外装も一貫製造するメーカーは、時計製造の長い歴史を持つ老舗が大半である。

そんなスイス時計産業の中で、《ブルガリ》は例外的存在だと言えよう。今さら説明の必要はないであろう、1884年にローマで宝飾店として創業したイタリアを代表するラグジュアリー・ブランド。

1920年代に時計製作に着手し、1977年発表の『ブルガリ・ブルガリ』の大ヒットで、時計ブランドとしても認知されることとなる。1980年代初頭には、スイス・ヌーシャテルに時計製造を専門とする《ブルガリ・タイム社(現ブルガリ オルロジュリ社)》を設立した。

ここまでの動向は、時計市場に参入を果たしている他のジュエラーやファッション・ブランドにも見られる。しかしブルガリが一線を画しているのは、2000年以降、ムーブメントやケース、ダイヤルなどの工房を次々と傘下に納めた点にある。こうしてウォッチメイキングに関するすべてを垂直統合したブルガリは、2010年に高らかに「ウォッチメーカー宣言」をしたのである。