RODINの創設者リンダ・ロダンに学ぶ、美しい歳の重ね方

小さくても品揃えのセンスがよいライフスタイル系コンセプトストアやパリのコレット、バーニーズのようなファッションピープル御用達の店などで「RODIN」という名前が入ったボトルをよく見かけるようになったのは5〜6年前からだろうか。

ちょうど同じころからアリ・セス・コーエンによるファッショナブルな中高年女性のストリートスタイルを集めたブログ「Advanced Style」が話題になり始めたのも偶然ではないだろう。アメリカン・ビューティの基準に変化の兆しが見られている。

「私のスタイルはずっと同じ 。生まれてこのかたずっと同じ人間なのに60を過ぎてから、私が好きなものに人々が関心を抱くなんて、とても驚いたわ!」

自宅のキッチンで11種類のエッセンシャルオイルをミックスして作ったフェイス用オイルが「RODIN olio lusso」の原型だ。「昔から旅先などでアロマオイルを買い集めるのが好きだった。ローションタイプの化粧品が嫌いで、自分の好きなテクスチャーと香りのオイルを混ぜて使い始めたんです」。

当時リンダは『ハーパースバザー』のエディトリアルやヴィクトリアシークレット、レブロンの広告などで活躍するスタイリストだった。撮影のときモデルやヘアメークの人などがそのオイルを欲しがったのがきっかけでビジネスにすることを思いついたという。

「フォーミュラは作り始めた当初からほとんど変えていません」。そして2007年に会社を設立、そして2年ほど前からはエスティ・ローダー社の傘下に入り、ラインナップはボディやヘア、リップスティックなど13アイテムにまで拡大した。

アメリカ女性の美の基準といえばフォーエヴァー・ヤング(Forever Young)でいつまでも若く美しくいることが求められてきた。「私だって昔はシワ取りの治療を試したわ。でもね、1年後ぐらいに鏡を見たときに何か変、って気付いたの 。もちろん私だってシワなんか好きじゃない、でも若さを永遠にキープするのは不可能」。

アンチエイジングを主体としたハリウッド流ともいえるアメリカの美容トレンドと「RODIN」はコンセプトを異にしている。若さに固執するのでなく、歳を重ねてきた肌を癒すかのように浸透していく黄金色のオイル。シワを消すことはできないかもしれないが、そのテクスチャーや香りは私たちにラグジュアリーでエレガントな気分をもたらしてくれる。

自然に老いを受け入れながら美しく歳をとる。ヨーロッパ的ともいえるその考え方の背景には彼女が若いころをイタリアで過ごしたことと関係があるかもしれない。「18の夏、ボーイフレンドを追いかけてミラノを訪れました。彼は夏の終わりには仕事を終えてNYに戻ったけど、私は残ってそのまま3年間を過ごしたんです 」。

イタリアではアートギャラリーで働いたり、モデルをしたり。「それまでずっとアメリカを出たことがなかった私にとってはマジカルな体験。アートや建築、食べ物など全ての出来事が新鮮で私の人生観を変えてしまった」。

時は1960年代の後半。フェリーニ映画のヒロインか「ローマの休日」のオードリー・ヘプバーンのように可憐だったリンダを想像するのは難くない。「今もイタリアに初めて降り立ったときに履いていたオレンジ色のバレエフラットは大切にとってあるのよ」。