日本の美を愛でる旅。おさえておきたい5つのポイント

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日本ナンバー1の庭園を誇る「足立美術館」を巡る旅。どんなところを見て、楽しむといいのか。そのみどころをご紹介しよう。

 

1、5万坪の日本庭園

この完璧なまでに美しい庭を維持するには絶え間ない努力と、伝統に培われたノウハウがある。例えば、庭園以外の場所には「仮植場(かしょくば)」と呼ばれる所有地があり、スペアの赤松・黒松・苔などを育てている。これはつまり、庭園のバランスを常に完璧にするために植え替え用を備えているということ。

木の高さや枝の広がりは庭師が剪定して大きくならないようにできるが、木の太さは剪定などで調整できず、年々太くなっていく。そして太くなりすぎた木は、庭石が小さく見える、後ろの景観を隠す、圧迫感があるなど、庭園のバランスを崩してしまうようになってしまうのだ。それを避けるため、その場所に合った大きさの木をいつでも植え替えれるように、あらゆる種類のスペアをそろえているというのだ。(赤松だけでも400本以上!)

「山陰は既に梅雨入りしましたが、これからの季節は、しっとりと雨に濡れた庭園をお楽しみになれます。庭石や苔が雨にぬれ、借景の山々には雲が立ち昇り、水墨画の世界のような風情をぜひ見ていただきたい」(美術館広報)

日本庭園はこれからがベストシーズンということなのだ。

 

2、横山大観をはじめとする日本近現代美術の傑作の数々

足立美術館は、1970年に開館。安来市出身の実業家、足立全康によって新設された。農家出身の足立は、裸一貫から商いを起こし、大阪で繊維業や不動産業を営んで功を成し、「郷土に恩返ししたい」という想いでこの美術館をつくったという。

「日本一のコレクション」とも言われる横山大観をはじめ、竹内栖鳳や川合玉堂、上村松園など近代日本画壇を代表する巨匠たちの名品に加え、陶芸館では北大路魯山人や河井寛次郎の作品を展示するなど、その所蔵点数は1,500点に及んでいる。

そのほとんどは、足立全康によって蒐集されたもので、庭園の四季の変化とともに、年4回の特別展を開催し、常時70点前後の作品を展示している。

『紅葉』横山大観 昭和6年(1931)
『雨霽る(あめはる)』横山大観 昭和15年(1940)
『雨霽る(あめはる)』横山大観 昭和15年(1940)

「紅葉」(六曲一双屏風)を見た時に、感銘を受けたという足立。「雨霽る」は、画集から切り抜いて額縁にいれて眺め続けたという憧れの作品。管財人から譲り受けるときは、口説き落とし、泣き落として、岩をも通す一念で手に入れたという。