壁に耳あり障子に目あり。バスやエレベーターでの仕事話には細心の注意を。

心のふきだし #16

ある大手広告会社の高速エレベーターには、頭上に女性が「シー」と指に人差し指を立てた絵がかけられている。これは「エレベーター内では静かにね」という意味もあるだろうけれど、実はそれだけではない。

広告会社は社内外のありとあらゆる情報を取り扱うところ、不用意に話したことがうっかり漏れてしまったり、問題になったりということが普通に起こる。特にエレベーターのような密室は、うっかり隣の人に何でも話をしてしまいがちだけれど、誰が乗っているかわからないので、「気をつけてね」という意味なのだろう。

これを見るたびに何十年も前の事件を思い出す。会社の上司が部下と一緒に取引先を訪ねるため、バスに乗っていた。並んで椅子に座って、取引先に初めて連れていく部下に、その会社の説明をしていたらしい。いろいろ話している中で調子に乗ってつい「いかにそこの会社がうるさくて面倒か」という悪口めいたことまで話したようなのだ。

バスを降りてその取引先を二人で訪問して、その後会社へ帰り……。そこまではよかった。なんと次の日にその取引先から連絡が来て「担当者を変えて欲しい」と言われたのだ。

訪問した時も何も問題なく、むしろ和気藹々とした雰囲気だった。それなのに何故?