必ずやレジェンドとなろう!? ランスでクリュッグの2002年ヴィンテージを試飲する

ワイン縦横無尽 #11

アルゼンチンから帰国し、ゴールデンウィークをゆっくりと過ごす暇もなく、次なるミッションのためフランスへ飛んだ。目的地はシャンパーニュ地方の中心都市ランス。「クリュッグ・セレブレーション・ウィーク」から「クリュッグ・ワールド・フェスティバル」と名を変えたワイン専門家向けのイベントに今年も参加するためである。

以前他所で書いたフレーズの繰り返しになるが、これを車の世界に喩えるならば、フェラーリからマラネロへの招待状を受け取ったに等しい。その招待状にはこう書いてあるわけだ。「ローンチ前の最新モデルを思う存分ご試乗いただけます。ついでにヒストリカルなモデルもお楽しみください」と……。

その最新モデル、いや、シャンパーニュなので最新キュヴェが、ヴィンテージの2002年である。クリュッグといったら、芸術的なまでのアッサンブラージュによって構築された、マルチヴィンテージの「グランド・キュヴェ」がもっともよく知られているが、メゾンのもう一本の柱として存在するのが、単一収穫年の「ヴィンテージ」だ。

クリュッグを創設した初代ジョゼフ・クリュッグは、幼い息子に将来を託し、日誌の中にこう書き記したという。「品質的に等しいふたつのキュヴェを造るべし。キュヴェNo.1は毎年変わらぬもの、キュヴェNo.2はその年の特長が引き出されたもの」。すなわちキュヴェNo.1こそ今日のグランド・キュヴェにほかならず、キュヴェNo.2とはヴィンテージのことを指す。

ブドウ栽培のほぼ北限に位置するシャンパーニュ地方では、品質の高いブドウを毎年安定して収穫することが難しく、したがって、単一収穫年のシャンパーニュは卓越した年にのみ造られる。クリュッグの例を挙げると、90年代にリリースされたのは、90年、95年、96年、98年の4ヴィンテージにすぎない。その後は2000年、03年と続き、そしてこのたび、02年の登場と相成った。

鋭い読者ならお気づきのように、ひとつ前のヴィンテージが後からリリースされるという逆転現象が起きている。これはクリュッグに限らずシャンパーニュの世界では時折見られることで、02年のほうがより長い熟成の時間を要すと、メゾンが判断したためだ。