あの神様アンリ・ジャイエ「最後の弟子」が造る極上のブルゴーニュ!?

クリストフの所有する畑は全体的に樹齢が高く、低収量ゆえに凝縮度の高いブドウが実る。けれども彼はそれに満足せず、降雨の後の腐敗を避けるためまめに余分な葉を取り去り、夏のうちにブドウの房を間引くグリーンハーベストを行う。収穫の際は畑で健全なブドウのみを選んで摘み取った後、醸造所では房をふたつに割り、内側に腐敗果が紛れていないかまで確認するというのだから恐れ入る。

ワインブーム真っ只中の90年代後半に初めて味わった彼のワインは、色は濃く香りは芳醇、抽出が強くパンチの効いたワインだった。ただし、モレ・サン・ドニもシャンボール・ミュジニーも似たような味わいで、区別をつけるのが難しかったと記憶している。しかし今、彼が造るワインはその当時と明らかに異なる。

「私の嗜好が進化したから……」とクリストフ。

現在のワインは色調に透明感があり、バランスがとれ、エレガントにまとまっている。それより何よりテロワールの個性が明確に表現されるようになった。

ジュヴレ・シャンベルタンの特級畑であるマゾワイエール・シャンベルタンは、法律上、隣接するシャルム・シャンベルタンを名乗ることができるが、ペロ・ミノは両方の畑に区画を所有していて別々に醸造している。小石が豊富なシャルムのほうが、ワインは緻密な構造でより骨格がある。クリストフによれば、長く寝かせてさらに進化するのはシャルムのほう。

しかしながらジュヴレ・シャンベルタンの特級ものより度肝を抜かれたのは、シャンボール・ミュジニー1級のコンブ・ドルヴォー・ヴィエイユ・ヴィーニュとニュイ・サン・ジョルジュ1級のラ・リッシュモーヌ・ヴィーニュ・サントネール。前者は特級ミュジニーに隣接し、後者はヴォーヌ・ロマネの特級ラ・ターシュと同じ条件をもつ。

どちらも一糸乱れぬ端正な佇まいに打ちのめされた。30時間を超えるフライトの疲れも、極上のブルゴーニュワインですっかり吹き飛んだのである。

Photo:Tadayuki Yanagi