東新橋の幻の寿司屋!? 「きよ友」は、あの倉俣史朗の傑作デザインであった

レストラン熱中派 #12

もう10年以上も前の話だが、不思議な話が舞い込んできた。長期間閉店しているが東新橋にある「きよ友」の本格的な江戸前寿司を握れる職人を紹介してくれないか、というのだ。

ありし日の「きよ友」。外観は、このような不思議な造り。夜になると闇の中に青い壁面が協調され、中に引き寄せられるよう。

依頼主はイギリスの大手美術出版社の社長で、寿司好き、そしてなにより熱烈な倉俣史朗ファンだった。その寿司屋は何と倉俣史朗がデザインしたもので、非常に貴重な物件、というより作品だった。

倉俣史朗といえば、日本を代表するインテリアデザイナー。60年代から数々の作品を発表し、90年にはフランス文化省芸術文化勲章を受章している。91年に急性心不全のため56歳の若さで亡くなる。

氏の名前を世界に知らしめたのは、アクリルの中にバラの花を閉じ込めた美しい椅子、「ミス・ブランチ」だろう。氏はプロダクトデザインのみならず、飲食店の空間デザインにも独特の世界を作り上げた。