「神の手を持つ時計師」パルミジャーニの20周年モデル『トンダ クロノール アニヴェルセール』

なにしろ機械式狂いなもので #11

機械式時計が、量産が容易で高精度なクォーツに取って代わられんとしていた1970年代~80年代初頭、スイスの伝統的な時計技術は失われつつあった。時計師たちはクォーツ時計の裏蓋を開け、電池を交換する程度の仕事しかなく、他に職を求める人も多かったという。

一方で志高く、機械式時計の文化を守ろうとした時計師もいた。真の才能を持つ彼らは、スイス機械式時計冬の時代にあってもなお少なからず存在した熱心なコレクターらの要請で、歴史的タイムピースを修復する職を得て、それを通じて腕を磨いた。

こうしてコレクターや時計業界の間で名声を得た彼らの中の、選ばれし天才時計師は、後に自らのブランドを設立することとなる。前回取り上げたフランク ミュラーも、その一人。そしてミシェル・パルミジャーニもまた、スイス機械式時計冬の時代に現れた天才時計師である。