絶滅寸前の「昔ながらのビストロ」、東京で唯一健在なのは!?

本来ビストロは、地方からパリに出てきた人たちのために郷土料理を提供する店だった。ブルゴーニュ地方のコック・オ・ヴァン(鶏の赤ワイン煮込み)、南西部のトゥールズのカスレ(ソーセージや肉と豆、野菜の煮込み)、北アフリカのクスクス(羊の煮込み)など。

クミンの香るクスクスは北アフリカからパリに働きに出てくる黒人たちのソウルフード。意外にもパリジャンのほうがスパイシーな味をお好み。

パリジャンが大好きなステーキ・フリット(ビーフステーキにジャガイモのフリット)。ビストロといえば、このような定番料理があり、値段もそこそこだから安心して入れる。

それに対して“ネオ(新しい)”は、気取らない雰囲気はそのままに、料理は質の良い素材を活かし、季節の素材を取り入れ、シェフのオリジリティを加わえたもの。

メニューにおなじみの定番料理はなく、季節の素材を取り入れた限りなくレストランの料理に近い内容だ。バターやクリームを使ったソースは使わないし、塩も控えめ。フランス料理と意識せずに誰もがくつろげるスタイルは、今の時代に求められる要素が集約しているが、ただ、本物のビストロを経験しなければ、その良さも物足りなさも、知ることなく終わってしまう。

近頃、残念ながら、どんどん昔ながらのビストロが消滅しつつあるが、唯一健在なのが1973年創業の西麻布『ビストロ・ド・ラ・シテ』ではないだろうか。