取引先への贈り物。商品券の受け渡しは、くせ者である。

先方にお伺いする場合、その場に立ち合わせるのがご本人だけとは限らない。昇進、昇格の時にはその方の上司や部下の方が同席される。退社される場合も同様に、引き継ぎされる方がご一緒されることがある。

そんな時に、商品券をわざわざ袋から取り出して「いかにも」という形でお渡しするのはどうだろうか? 受け取った方はまわりの手前、何となく受け取りにくく、居心地の悪い思いをしてしまう。

商品券は、いくらデパートの袋に入っていても周りの人には何が入っているかわかってしまうもの。けれども社封筒に入っていれば、受け取った後に、自分の席に自然に持ち帰ることができる。カバンに入れるのも引け目を感じずに済むだろう。

毎回、阿吽の呼吸で受け渡しが行くとは限らず、「開けてみていいですか?」とおっしゃる方もいるけれど、その場合は、「後でご確認ください」と言ってかわすのが無難だ。

また、ついつい手配をした部下が先方にそのままお渡ししてしまいがちだが、それではこれまでの配慮が台無し。先方までは自分が持参したとしても、渡す時は上司の手から、にするのがよい。

贈り物は、贈る側の都合だけでなく、受け手側の都合に配慮してこそのもの。特に餞別などは、職場もご本人もナーバスになっていることが多いので、気配りをしてし過ぎることはない。

先日、ある会社の社長が退社することになった時、「いかにも商品券を持って来て渡していた人たちがいた」……という話をその職場のスタッフから聞いた。そして、その人は、「たぶん、違う会社に移った後のことを考えて、機嫌をとっておく魂胆なのよね」とも言っていたのだ。

本来は、感謝の気持ちを手渡すことであるはずなのに、このように邪推されることも少なくない。渡す側も受け取る側も気持ちよく、気持ちをかわすために。

商品券は、商品券とわからないためのカムフラージュが社会人としてのマナーなのだ。

 

Illustration:Nao Sakamoto

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