今年のアカデミー作品賞『スポットライト』は、獲るべくして獲ったのである!?

舞台がカトリックの街ボストン。僕の贔屓な映画作家マーティン・スコセッシやクリント・イーストウッドの作品だと、『ディパーテッド』(2006)や『ミスティック・リバー』(2003)で描かれた街である。

奇しくも、『ミスティック・リバー』ではアカデミー助演男優賞を受賞したティム・ロビンスの少年時代に性的暴力を受けることにより、幼馴染3人の人生に暗い影を落とすが、この作品でもカソリックの神父による性的暴力が引き金になる。

この事件を報道しようとする記者たちはみんな、子どものころカソリック教徒として教会に通い、神父たちを尊敬していた。 結婚が禁止されている神父たちはその教会のありがたみを利用し、一部の人々は少年少女たちに性的な虐待を加えていた。

しかも被害者の多くは家庭環境に恵まれない、どちらかというと社会的弱者の子どもたちだった。彼らが被害を訴えても、宗教のありがたみの前では無力に等しかった。またカソリック側も順繰りに教区を変えるだけで、まったく訴えは起こされなかった。

こうして何10年にわたり真実は闇に葬り去られて被害者は増え続けた。ある者は自ら命を絶ち、生き残った被害者たちもカソリック教徒が大多数の街のなかでどんどん孤立していった。

しかし、本作ではカソリック教会を完全な悪者に描いていない。この事件の核心に迫るなか、「9月11日」(同時多発テロ)に遭遇し、傷ついた人々たちに多くの宗教指導者たちはやさしく語りかけるわけだ。そういった宗教の善なる部分もちゃんと描いているのがすばらしい。

『スポットライト 世紀のスクープ』 4月15日(金)、TOHOシネマズ 日劇ほか全国公開 配給:ロングライド  Photo by Kerry Hayes (C) 2015 SPOTLIGHT FILM, LLC

ラストで、「スポットライト」チームの奔走は報われる。ラファロも、マクアダムスも、キートンもホントにいい顔なのだ。

この作品を観て、好きにならないなんて信じられないのである。

 

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『スポットライト 世紀のスクープ』 4月15日(金)、TOHOシネマズ 日劇ほか全国公開 配給:ロングライド
Photo by Kerry Hayes (C) 2015 SPOTLIGHT FILM, LLC

 

【Byron’s Pick Up】

 

 

『インセプション』の舞台には、『惑星ソラリス』『ラストタンゴ・イン・パリ』『女王陛下の007』の名シーンが引用されている!?

 

 

 

ウォン・カーウァイの『花様年華』は、「夢二のテーマ」抜きに語れない音楽映画である!?

 

 

 

『麗しのサブリナ』とリメイクの『サブリナ』、タバコを吸うか吸わないかの違いだけなのに出来は雲泥の差だ