2010年代は、優れたデザイナーの立身出世物語がメイド・イン・ジャパンの進化の物語と重なり合う「幸福な時代」ではない

デザインのミカタ #5

2010年代の日本デザインを振り返るにはまだ早すぎるが、おそらく歴史に残るのは昨年の東京オリンピック・パラリンピックのエンブレム問題で、新国立競技場と併せて語り継がれることになるだろう。

他に代表的なものといったら、2010年生まれのくまモンか、JR東日本の新幹線E5系か。

全国津津浦々に出現する官公庁系のゆるキャラは、地方創生の担い手として、田中角栄の日本列島改造論のひとつの帰結である新幹線列島縦断とつながっている。

秋田、北陸、東海、九州にそれぞれ優れた新幹線車両が走っているが、震災の日の6日前に東北と東京を結ぶ営業運転をはじめ、そして2016年北海道をつないだ意味でもE5系を代表として挙げたい。

といっても近年の日本のデザインは時代の顔というべきものが見当たらない。今のデザインを語るに欠かせないスマホやドローンやSNSは、アメリカ勢に席巻されている。同じように、この時代を代表する日本のデザイナーといわれてもパッと思いつかない。たいていは2000年代の有名デザイナーがそのまま横滑りしている。