ベゼルに24のタイムゾーンが刻まれたIWCの『パイロット・ウォッチ・タイムゾーナー・クロノグラフ』は、地球の時間を操る気分!?

なにしろ機械式狂いなもので #7

中学・高校の社会や歴史の教科書ではあまり語られていないけれど、1884年10月1日、地球は24に分割された。領土・領海の主権を争う物騒な話ではなく、時間帯(タイムゾーン)のお話。

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当時のアメリカ大統領、チェスター・A・アーサーの呼び掛けで、25ヵ国41名の代表者が参集した「国際子午線会議」で、英国グリニッジを通過する子午線を本初子午線とし、ここでの時刻を世界標準時=GMT(Greenwich Mean Time)と定め、世界を24のタイムゾーンに分けることが決められたのだ。

さらに隣り合うタイムゾーンの時差を1時間とすることも決議された。インドやネパールなど一部例外はあるものの、今もほとんどの国が、この会議で定められたタイムゾーンに準拠している。

日本時間を基準にサマータイムを無視するならば、パリはマイナス8時間、香港はマイナス1時間、ニューヨークはマイナス14時間。こうした異なるタイムゾーンの時刻を、複数表示できるマルチタイムゾーン機構が近年、時計界のトレンドのひとつになっている。

海外旅行が身近になり、またインターネットで24時間世界とつながる現代、マルチタイムゾーンは時代に則した機構だと言えよう。1月にジュネーブで開催された新作時計発表会SIHHでも、マルチタイムゾーン機構を備える時計がいくつも見られた。中でも《IWC》の『パイロット・ウォッチ・タイムゾーナー・クロノグラフ』は、優れた操作性を備えた秀作だ。

肉厚で上質なカーフのストラップは、イタリアン・シューズの名門サントーニ製。裏蓋には初代パイロット・ウォッチが、そのコクピット計器をデザインのモチーフとしたドイツの名機ユンカース Ju52の雄姿を刻む。

その名の通り、1936年にパイロットのために製作された腕時計をルーツとするIWCの代表的なコレクションの中のひとつ。いくつものタイムゾーンをまたがり移動するパイロットにとって、出発地と現地の時間が同時に知ることができる時計は有益であり、マルチタイムゾーン機構は早くからこのコレクションにラインナップされてきた。

その最新モデルは、自社製のクロノグラム・ムーブメントとの組み合わせだ。

外観を特徴付けるのは、24のタイムゾーンを代表する都市名を刻んだベゼル。これを回すと時針と黒×赤の24時間針とが一緒に動き、12時位置にある都市の時刻を示す仕掛けだ。24時間針があるのは昼夜を知るためで、3時位置にあるデイ表示も連動してその都市の日付を表示してくれる。

つまり海外旅行の際、いちいち時差を調べなくても、ベゼルを回すだけで現地の時間に時計が合わせてくれるというわけ。日本の時間が知りたくなったら、「TOKYO」を12時位置に合わせればいい。何とも便利だ。海外旅行だけではなく、広く海外と取引するビジネスマンにもこれは重宝する。

こうした都市名と24のタイムゾーンとをリンクさせるワールドタイマーと呼ばれる機構を備える時計は、他社にもある。しかし回転ベゼルで操作するIWCのこのモデルは、タイムゾーンの設定が極めて容易で使い勝手がいい。

しかも不用意にベゼルが回らないようにロック機構を備えているのが、堅実なるIWCらしさ。通常ベゼルはロックされていて、操作する際に上から押すと解除され、押したままベゼルを回してタイムゾーンを設定し、手を離せば再びロックされる仕組み。意識しなくても操作の流れでロックされるから、これまた使い勝手がいい。

この押し回しするスプリング式ベゼルは、1980年に誕生したダイバーズウォッチの傑作『ポルシェデザイン オーシャン2000』から受け継ぐIWC伝統のメカニズム。その耐久性は、実証済みだ。

ベゼルを押し回せば、世界の時間を操り、手中にした気分にもなれる。操作の際のカチカチとした感触が小気味いい。ムーブメントだけでなく、ベゼルにも精密なメカニズムが与えられ、機械式時計ファンの心をわしづかみにする。

 

■商品情報:

パイロット・ウォッチ・タイムゾーナー・クロノグラフ

自動巻き、ステンレススティールケース。直径45mm。予価144万円。今秋発売予定。
問い合わせ先:IWC  Tel.0120-05-1868