せっかくの「招待」が無駄というかマイナスになってしまう「正体」!?

心のふきだし #10


金融系に勤める私の担当者の男性が食事に招待してくれると言ってきた。有名なソムリエを囲んでの小人数のディナーだそうだ。

その会社と付き合って10年ほど経つけれど、そんなことは初めてだった。以前、企業に所属していたときは、仕事柄、接待したりされたりという機会がたくさんあった。

ただ、個人的な立場で接待を受けることには慣れていない。だから、このお誘いも一瞬、躊躇した。

若い担当者が「お友達も誘って気軽にいらしてください」と言ってきたので、ご好意に甘えることにしようと思った。早速ワイン好きな友人に都合を訊くと「ぜひ参加したい!」と言う。すぐその男性に連絡をした。

「ありがとうございます。ぜひ出席させていただきます」と伝えると彼は「そうですか、ありがとうございます」と少し事務的な返答。

その言葉に続いて「一緒に来られる方はもう決まっていますか?」と訊いてきた。

「決まっています」

と答えた後、気になって「あの、本当にふたりで参加しても大丈夫ですか?」と確認した。

友達を誘うときに「誰にしようかな」と思い、もちろんワイン好きなことに加えて、接待してくれる会社のクライアントになる可能性がありそうな人を選んだ。

もちろんセールスなどないはずだけれど、まるっきり興味がない人よりも、これがきっかけで何かご縁が出来たらよいかも!と担当者を気遣ってのことだった。営業を長くやっているとどうしてもそういうことに勝手に頭がいってしまう。

すると、その彼は「もちろんです。お友達と一緒にいらしてください。その方のお名前今おわかりですか?」と訊いてきた。

心の中で「当日の受付と、テーブルの名前に必要なのね」と思い

「●●さんです」とフルネームを伝える。

担当の彼から「この会の内容を書いたリーフレットを送りますね。」と、言われてそこで会話が終わり、電話を切った。そこまではよかった。

しかしすぐに彼からまた電話があった。

「すみません、その方ですがご自宅の住所を教えていただけますか?」

一瞬「え」と思い「自宅の住所ですか?」と聞き直す。

「そうなんです。その方の住所が必要なのです」と言う。

「では調べて掛け直しますね」と言って一度電話を切るものの、やはり変だ。何故私が招待されるのに関係ない友人の個人情報が必要なのだろう。すぐに担当者に電話をして、「それは勝手に教えられません」と伝える。

「友人にセールスするんですか?」と問う私に対して「違います。そういうわけではないのですが、このリーフレットにその方の住所、名前、連絡先、職業を明記しないといけないようなんです」と彼。

彼の会社が招待してくれる話なのに、そこから彼はやたらまるで他人事のように「〜〜のようなんです」を連発する。

「私にはわからないけど〜〜のようですね」という感じに説明するのだ。

「え〜じゃもし私が仮に彼氏と行く場合も、その彼の個人情報を伝えなきゃいけないということですよね。」と言ってみる。

「そういうことになりますね」と彼。

「でもね、私が勝手に友人の個人情報は伝えられないですよ」というやりとりに「ではそのリーフレットを送るので、それをお友達にお見せして聞いてください」と言うので、

「そうですか、じゃあもし友人が断ったら私も今回はやめておきますね」と、言ってみる。そうすると

「かしこまりました!」

とハキハキと言うではないか?

思わず「え??かしこまりました?」と聞き返す。そうすると

「あ、もちろんいらしていただきたいですけど、しょうがないですからね」。

すっかり行く気はなくなってしまった。

せっかくの招待、好意が無駄どころかマイナスになってしまった。一番残念なのはその「マイナス」がちっとも本人に通じてないところだ。

 

Illustration:Nao Sakamoto

 

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