ドン・ペリニヨン・ロゼは、単に白のドン・ペリニヨンに赤ワインを混ぜたものではない!?

数多あるロゼ・シャンパーニュの中でもドン・ペリニヨン・ロゼは別格。リシャール・ジョフロワとそのチームが、ピノ・ノワールの真髄を表現すべく全身全霊を傾けてアッサンブラージュした逸品である。

それは、他のメゾンでは色調の変化を気にするあまり、往々にして白に先んじてロゼがリリースされるのに対し、ドン・ペリニヨン・ロゼは必ず、通常のドン・ペリニヨンの後に出ることからも明らか。ドン・ペリニヨンは2006年が発売されて間もないが、ドン・ペリニヨン・ロゼの現行ヴィンテージは2004年である。

「ピノ・ノワールから赤ワインを造り、白ワインとして醸造されたシャルドネ、ピノ・ノワールとアッサンブラージュして、ドン・ペリニヨン・ロゼとしてのフレーバーが生まれます。ドン・ペリニヨンよりも確固たる意志をもち、ピノ・ノワールの個性を尊重しながらドン・ペリニヨンの限界点を追求するロゼは、いかなる矛盾に突き当たろうと、ドン・ペリニヨンのスタイルを保たねばなりません」と、ヴァンサン。

件のロゼが白よりも後出しなのは、「エネルギーは時の流れと関係があり、時の流れとともに蓄積されていきます」と、師匠のリシャール並みに哲学的な言葉で答えを返してきた。要するにピノ・ノワールがその真価を発揮するには、より長い時間が必要ということか……。

驚いたことに、この2004年のドン・ペリニヨン・ロゼにアッサンブラージュされたピノ・ノワールの赤ワインの比率は28パーセント。通常は10〜15パーセント程度が相場だから、異例の高配合である。

ところで、ドン・ペリニヨン・ロゼとは、白のドン・ペリニヨンにただ赤ワインを混ぜただけの、単なるドン・ペリニヨンのピンクバージョンではない。ロゼはロゼで、赤ワインを混ぜる前の白ワインの段階で、通常のドン・ペリニヨンとは異なるアッサンブラージュが行われている。

「ドン・ペリニヨンの白は白で、すでに極限まで完成されたもの。それに赤ワインを加えたら、完璧な調和が壊れてしまいます」。

面白かったのはリゾットが出てきた時のこと。アタックは柔らかいのに中心には硬い芯のあるピノ・ノワールの風味は、リゾットのようだとヴァンサンはいい、ドン・ペリニヨン・ロゼとは噛みごたえのある食材が合うと、彼独自のペアリング論を展開。たしかに、ドン・ペリニヨン・ロゼに合わせたくなるのは鴨や鳩など咀嚼時間のかかる食材である。

我が家には娘が生まれた時に購入した90年とまさに生まれ年の2000年のドン・ペリニヨン・ロゼがある。さらなるエネルギーの蓄積を期待して、もう少しセラーの中で過ごさせる予定だ。

 

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