年下に敬語を使われるようになってますますわかる、敬語は「奥が深い」!?

心のふきだし #8

「敬語」というものはなかなか奥深いと思う。と言っても今さら「言う→おっしゃる、見る→ご覧になる」をきちんと使いましょうという意味ではない。

若い頃、会社で同僚と話していると、仕事先の年上の女性のことが話題になった。

私が「⚫️⚫️さんがこう言うのよ〜」と言うと、同僚の彼女は「そうおっしゃったのね」と言い直し、私が「そしたらそこで⚫️⚫️さんが⚫️⚫️したのよ」と言うと「こうなさったのね」と言い直す。

私が敬語で話さないことがとても気になるようだった。ところがその彼女、肝心の本人に会うと必ず「⚫️⚫️だよね」「⚫️⚫️したの?」とフランクに話す。目の前にいる本人には一切敬語を使わない。

「敬語の使い方が違うんだけど」というのは言えなかった。

この歳になると、仕事関係は圧倒的に年下が多い。だから“敬語”で話されることがとても多い。

上下関係がない間柄でも“年上”というだけで私にだけ「こうなのですか?」「こうですよね」と言う。気を遣ってくれているんだなと思いつつ、一方ではその人たちから「自分だけ一線引かれている」気がしたり「よそよそしい感じ」がしたり、いろいろな感情が引き起こされる。

もしかしたらこれは女性だけの独特な感覚なのだろうか?

先日久しぶりに会った、仕事関係の男性も私と話している間ずっと「〜ですよね」「はい」を連発していた。「はい」と言われて「なんで彼はこんなに私に敬語を話すんだろう、前からそうだったのか?」と考えた。部下でもないし彼に仕事を出している関係でもない、同年代なのに何故?

しばらくして、そうか、彼は私より1歳年下なので律儀に敬語を使ってるんだ。と思い当たった。

ずっと私に対して敬語で話してきていた年下の友人が、親しくなるうちに敬語を使わなくなると私は「ちょっと嬉しい」気分になる。

そのせいか私も親しくなると年上の友人に敬語を使わないところがある。もしかすると「年下のくせに敬語を使わない失礼な人」と思われているかもしれない。

敬語は「奥が深い」と思うのにはわけがある。

先日ある美容サロンに行った。そのサロンのオーナーの女性は私と同年代で、もう10年来の友人。なんでも話せる仲だ。その彼女と一ヶ月ぶりに話したら「あ〜そうなんですね」「え、そうなんですか」「こうこうしたんですよ」と彼女は私に敬語を連発する。

今までだったら「〜〜なのよね。そうなの? こうなのよ」と普通に話していた彼女が急に話し方を変えたのだ。内心驚いて「何かあったの?」「そもそも彼女にとって私は客なので、そういう話し方にしようと思ったの? でも突然何故?」

疑問で心の中がいっぱいになり、だんだん私の応え方のノリも悪くなった。

だからと言って彼女に「そうなんですよ、わかりました」と同じように応えるのもなんだかな〜と思い、今まで通りフランクに話してみる。途中で

「ね、私何かあなたに不愉快にさせることした?」

と、訊いてみたい衝動に駆られたけれど、もっとぎくしゃくするような気がしたのでそれはやめておいた。会話はそんな感じで続いた。でもいろいろ個人的な話も出たから彼女を“不愉快にさせた”わけではないらしい。

敬語というのは難しい。

一度敬語をやめたあと、改めて使う敬語は、より人間関係を難しくさせる。そういう気がした。

 

Illustration:Nao Sakamoto

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