行く蟹、来る蟹。1 年中、楽しめる蟹!

レストラン熱中派 #6

この冬は例年になく蟹に恵まれた。もしかしたら一生分の蟹、食べちゃったのではないだろうか。

なにせ毎週蟹の日があった。これには理由がある。現地に劣らない鮮度で届く流通の発達と、その蟹を料理して楽しませる料理人が現れたからだ。

昨年、銀座にオープンした「きた福 銀座店」もそのひとつ。売りは珍しい黄金蟹があること。黄金蟹は松葉蟹と紅ズワイ蟹の間に生まれた稀少な蟹で、松葉のミソと紅ズワイの甘い身の両方が味わえるのだから、一杯で二度おいしい。

黄金蟹
黄金蟹

お値段は松葉蟹コース(3万円~)、黄金蟹コース(2万8,000円~)。高い!と思うかもしれないけれど、個室で活けを目の前でさばいてくれるので、客はひたすら食べるだけという贅沢さ。私は1.2キロの松葉蟹を一人で食べたが、ほんとにお腹が蟹の身でいっぱいになり、大満足であった。

ちなみにオーナー・阿部光峰氏は20年近く前に広告代理店をやめて恵比寿に「胡桃」という和食屋を出した人。その店は3,000円ほどのコースで最後は炊き込みご飯でしめる。しかも深夜まで営業していたので、ギョーカイ人のファンも多かった。

その後、スペインバルを銀座や神楽坂で成功させ、赤坂にも「きた福」をオープンさせた。食いしん坊目線の店づくりは順調に育っている。

いっぽう荒木町「うぶか」は海老と蟹の“甲殻料理”として3年前にオープンしたこじんまりとした店。

店主の加藤邦彦氏は仙台生まれ。子供の頃から海老蟹が大好きで、高校卒業後、当然のように地元の「かに道楽」に就職。その後京都の料亭で修業を重ね、さらに海老の養殖をみたいからとニュージーランドで2年半仕事をした。

ずわい蟹
ずわい蟹

帰国してから2年半、先輩の中国料理店を手伝うなど、波乱万丈なキャリアだが、それが加藤氏の料理に大きな影響を与えている。「うぶか」のおまかせコース9品8,800円は香の物、デザート以外すべて海老か蟹が素材となっている。

椀もの ずわい蟹、聖護院大根、木の芽
椀もの ずわい蟹、聖護院大根、木の芽

私も知らなかったのだが、海老や蟹は一年中、日本のどこかの港に揚がっている。それを中華やフレンチの技法も取り入れた多彩な料理に仕上げ、コースで出す。こんな店、世界中さがしてもない。だって、それだけの種類の海老蟹があるのは日本の海だけだから。日本の海と「うぶか」の努力に拍手を送りたい!

今年最後の蟹は福井の友人が送ってくれた「水蟹」だった。福井の越前蟹は雄のズワイ蟹のことで、10回以上脱皮を繰り返して大きくなる。もちろん大きくなるほど高価。今年から1.3キロ以上の越前蟹に“極”のタグをつけられたが、これがなんと一杯9万円(東京で12万円の店もあった!)。

一方、水蟹はズワイの脱皮直後の蟹のことで値段も8分の1ぐらい。透き通るような殻に、たっぷり水分を含み、殻から「ズボッ」と簡単にはずれることから「ズボ蟹」とも呼ばれる。

水蟹 一杯を半分にカットして送ってきた。殻が赤いが、柔らかくてすぐに割れる。その身はズボッと抜けて、みずみずしい。甘くて、それでいてしつこくないからいくらでも食べられる。食べ終えて手が臭くないのが新鮮な証拠。
水蟹 一杯を半分にカットして送ってきた。殻が赤いが、柔らかくてすぐに割れる。その身はズボッと抜けて、みずみずしい。甘くて、それでいてしつこくないからいくらでも食べられる。食べ終えて手が臭くないのが新鮮な証拠。

とにかく味がピュアで、繊細で甘い。2月10日解禁で3月20日ごろまで。

ちなみに北陸で脱皮蟹が食べられるのは福井県だけとか。年々、漁獲量が減っているので他県では禁漁だ。素材を守らなければならない、でも、このおいしさはあきらめられない!

蟹に、海に、そしてこの蟹に関わるすべての人に感謝して大切にいただきます!

 

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