世界が注目する南米のシェフ-「蟻」を使うブラジルのA・アタラ、「石」を使うチリのR・グスマン

レストラン熱中派 #5

オリンピック開催をきっかけに今年は、一気にブラジルブームがきそうだが、料理の世界での南米人気はもう10年も前から。

とはいえ、日本で南米料理として認知されているのはフェジョアーダ(豆の煮込み)やシュラスコ(串刺し肉料理)程度。しかし最近の“現代料理”は西洋料理のテクニックを使って、ドメスティックな料理を表現するのが常識になっている。

ブラジルの「DOM」のアレックス・アタラ氏はそのトップランナー。アマゾン河の魚やハーブなどブラジル固有の食材を使ったそのクリエイティブな料理は、同時期に北欧の「NOMA」が発表したものと合わせて“食の革命”ともいわれる。

アタラ氏は背が高く、いつも笑顔のイケメン。
アタラ氏は背が高く、いつも笑顔のイケメン。

中でも食材として“蟻”を使うことに世界は仰天した! 蟻には蟻酸という酸があり、先住民たちはそれをスパイス代わりに扱っていた。アタラシェフもアマゾンで素材探しをしてその事実を知り、デザートに使った。

パイナップルと蟻(交わるとさわやかなレモングラスのような香りになる)。その組み合わせはアッという間に世界に広まり、「あの蟻が欲しい!」と問い合わせが殺到し、「アマゾンに蟻を探しに行くツアー」までできたそうだ!

2月某日、ブラジル大使館公邸でアタラ氏と「ナリサワ」の成澤由浩シェフが特別ディナーを開催した。「パイナップルと蟻」が出てくるかと期待したが、今回は彼にしては珍しい伝統料理をが中心だった。

この日、アタラ氏は伝統的な料理を出した。キャッサバ芋の粉に鶏肉のシチューにかけて食べる「ガリニーダ」
この日、アタラ氏は伝統的な料理を出した。キャッサバ芋の粉に鶏肉のシチューにかけて食べる「ガリニーダ」

同じく2月末、チリから「ボラゴ」のロドルフォ・グズマン氏が「ブルガリ イル・リストランテ ルカ・ファンティン」のイベント「エピクレア」のために来日し、ファンティンシェフとのコラボレーションディナーを披露した。

グレイの瞳がミステリアス、と女性に人気にグズマンシェフ
グレイの瞳がミステリアス、と女性に人気にグズマンシェフ

チリといえばワイン王国で有名。日本の輸入ワインの中ではチリ産が最も売り上げが上位だが、チリ料理というのはほとんど知られていない。グズマンシェフは、チリの先住民族、マプチェ族やペウェンチェ族たちが守り続けてきた自然への尊敬と、チリ固有の素材をリスペクトし、それを現代的なテクニックで皿の上に表現している。

彼の料理で印象的なものが“石”のシリーズ。

グズマンシェフの石シリーズ2品目。グズマン氏、ファンティン氏がともに出会った修業先スペイン「ムガリツ」に石のように見えるアミューズがあるが、発想のヒントは師匠にあるのかも。
グズマンシェフの石シリーズ2品目。グズマン氏、ファンティン氏がともに出会った修業先スペイン「ムガリツ」に石のように見えるアミューズがあるが、発想のヒントは師匠にあるのかも。

イカスミを練り込んだインゲン豆のペーストで本物の石を包んでオーブンで焼き、コチャユーヨという海藻の根っ子を煮だしたブロードをかけて食べる。このブロードがちょっと醤油に似た風味。スプーンで衣をはぐように食べていくと最後に石がコロンと残るのが不思議な体験……。

グズマンシェフの石シリーズの1品目「プンタ デ タルカ 地層の恵み」。海底から深度によって徐々に色が明るくなる、グラデーションの表現が美しい。
グズマンシェフの石シリーズの1品目「プンタ デ タルカ 地層の恵み」。海底から深度によって徐々に色が明るくなる、グラデーションの表現が美しい。

この日、グズマンシェフが作った料理の盛り付けは美しく個性的。自国の文化と自然への回帰というメッセージが込められていた。その純粋さは今までの欧米料理にない魅力に思えた。

そして忘れてならないのがペルーのスーパースター・ガストン・アクリオシェフだがは、彼はまたあらためて。

 

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