長く厳しい冬があるからこそ、麗しく成長するお酒たち。

佐渡からの日本酒通信 #3

3月上旬。暦の上ではとっくに立春を迎えていますが、私の蔵がある佐渡島ではまだ寒い日が続きます。日本海の冬は長く、そして厳しい。

島特有の厳しさは、太平洋側の人にはなかなかイメージ出来ないかもしれません。東京モンが冬の島を訪れてビックリするのは、その色合い。新潟の冬というと雪深い景色を思い浮かべる人が多いでしょうが、意外なことに日本海に浮かぶ佐渡島は積雪が比較的少ないのです。

雪という純白のベールがなければ、そこに広がるのは無彩色のグレーワールド。東京モンにとっては冬も陽が射すのが当たり前でしょうが、島の冬に陽が射すのは稀なこと(ここ数年でだいぶ晴れ日が多くなりましたが)。鉛色の空を背景に、海風に煽られた高波が巨大な岩をぶち、「ザッパァァァーン!」と波しぶきが高く舞い上がる。

痛さを感じるザ・日本海の厳しい冬を如実に象徴するシーンと言えます。そしてもちろん、寒い。

しかし、この寒さこそ日本酒造りには欠かせない大事な要素というのも事実です。特に佐渡の冬は日中に晴れることが少ないため、日中と夜間の温度差が少ない安定した低温環境にあります。低温でゆっくりと発酵させることによって、繊細かつ香り高い酒が生まれます。