ヤナーチェクの「イェヌーファ」は人生の深淵を覗かせてくれるオペラ

砂漠のような東京でも…週刊ファッション日記~番外編#1

ファッションとはあまり関連はないが、私が東京砂漠で見聞きしたことで特に印象深かった事柄を番外編として綴ることにする。

新国立劇場でヤナーチェクのオペラ『イェヌーファ』の初日(2月28日)を観た。1997年に開場した同劇場でヤナーチェクのオペラが上演されるのは今回が初めてだ。ヤナーチェクのオペラは1980年代あたりから世界中のオペラハウスで取り上げられるようになっており、最近では人気演目にもなっているから、ずいぶん慎重だったことになる。

私もCDやTVでは聴いたことがあるが、実際の上演でヤナーチェクのオペラを観るのは今回が初めてである。

ヤナーチェクはチェコ人だが、チェコといっても、西部のボヘミアと東部のモラヴィアに分かれており、ヤナーチェクはモラヴィアの生まれで、このチェコ語のオペラ『イェヌーファ』もモラヴィア訛りがかなり入っているという。

ヤナーチェクの音楽で有名な曲と言えば、なんと言っても村上春樹の大ベストセラー『1Q84』(2009年)の冒頭で引用された「シンフォニエッタ」がとび抜けて有名だろう。なにかちょっと変わっているが魅力的な音楽である。『1Q84』のSFっぽい奇妙な話にマッチしていると言えば言える。私がCDでよく聴いているヤナーチェクのオペラは「利口な女狐の物語」だが、童話のような楽しいオペラだ。

だいぶ横道に逸れたが今回の『イェヌーファ』のあらすじを端緒って書くと、イェヌーファはシュテヴァという資産家の息子に騙されて子供を孕み出産し捨てられる。イェヌーファの養母は、ラツァという純朴な青年とイェヌーファを結婚させようと、邪魔になりそうな嬰児を雪に埋めて殺す。その悪事は春の雪解けとともに明らかになり、養母は罪を償うことになる。一方イェヌーファとラツァは混乱の中、結婚生活を歩みだす。