ファッション・システムは変わるのか-それとも行き過ぎたファッション民主化か!?

ファッション週刊紙『WWDジャパン』2月22日号によれば、コレクションが発表されてから店頭に並ぶまでのタイムラグを消費者がストレスとして強く感じるようになり、シーズンの立ち上がりにモノが売れない傾向が強まっているのだという。そこでコレクションショーの直後にすぐに買えるアイテムを、今回の2016-17年秋冬コレクションの中に一部混ぜて発表したブランドがかなりあったという。

いわゆる「秋まで待てないブランドオタク」に善処したということなのだが、そんな「秋まで待てないブランドオタク」がそんなにいるとは思えないのである。さらにこの発表方式だとファストファッションにコピーされるのを防止することにもなるというが、これもどうなのだろう。ファストファッションがパリコレやミラノコレのラグジュアリー・ブランドをそのままコピーしているという時代でもなくなっていると思うし、そもそもショーに出たものを明日から「店頭に並べます。ネットで売ります」なんてことができるブランドはごくごく規模の小さなブランドではないのだろうか。

それと、今回のニューヨーク・コレクションで提案されていた新しいファッションシステムは、アーティストのカニエ・ウエストがプロレスやボクシングファンなら知らぬ者がいない2万人収容のマディソン・スクエア・ガーデンで開催した「イージー シーズン スリー」というブランドのファッションショー。

Models pose during Kanye West Yeezy Season 3 on February 11, 2016 in New York City.
Models pose during Kanye West Yeezy Season 3 on February 11, 2016 in New York City.

やはりファッション週刊紙『WWDジャパン』のレポートによれば、ショーと新曲の視聴会、約1,000人のパフォーマーによるコンテンポラリーの鑑賞会をドッキングした内容で、ジャーナリストやバイヤーに加え一般客を招いた大掛かりなイベントになったという。

このショーに限らず、CFDA(アメリカンファッション協議会)はボストン・コンサルティングのアドバイスもありニューヨーク・ファッション・ウィークを消費者向けのイベントにすることを検討中だという(『WWDジャパン』2月22日号P.4)。これも「ファッションショーとは半年先の商品をバイヤーとジャーナリストに見てもらうために開催するもの」というファッション業界の基本原則に反するものである。

もしこれが実現することになれば、ファッション・ジャーナリストやファッション関連の出版社、スタイリスト、プレス(アタッシェ・ド・プレス)などの「既得権者」に大きな打撃になるのではないだろうか。オールドタイマーの私にはいかにも新大陸の首都ニューヨークあたりで発想されそうな行き過ぎた「ファッション民主化」にしか見えないのだが。

 

Image Photo:Kittibowornphatnon/shutterstock