信頼の上で成り立つはずの仕事の紹介が…

心のふきだし #3

昔から知り合いに「仕事を紹介して」とよく頼まれる。いろいろな企業と関わってきたから企業側から頼まれることも多い。そんな“マッチング”を今まで何回も、何回もしてきた。

前職の会社を辞めてからもそれは延々と続いていた。友人からは「会社辞めたいけど、どこかない?」。企業からも呼び出されて「こういう人を探しているんだけど誰かいない?」。この1人&動く“人材派遣業”を仕事にしたらよいのか?と思ったこともあるくらいだ。

先日仕事で知り合った女性と雑談した。彼女はフリーで仕事をしている。メインで契約している会社とは今月で契約が終了するのだと言う。30代半ばなのでなんとかなるだろうとは思ったが、彼女はそのことで参った様子だった。「これからのことを考えると落ち込んでしまって夜も眠れません」と言う。彼女とは知り合ったばかりだけれど「これは私がなんとかしなくては」という気持ちになってくる。

それからほどなくして、ある会社の人とたまたま会った。その人との会話の中で、そうだ!と思い「知り合いでこういうフリーの人がいるのだけど、優秀な女性だから会っていただけない?」と言ってみた。もちろん会うのはかまわないとのことだった。早速彼女にメールしてその旨を伝えた。すぐに彼女から丁寧なお礼のメールが来た。「その人に早速連絡してみる」ということだった。

翌週、また別の知り合いに会って、似たような流れになり彼女の話をした。その人も「いいよ、会ってみるよ」ということだった。また彼女にその旨をメールした。

2日ほど返信がなかった。「あれ、旅行でも行っているのかな」と思ったタイミングでメールが来た。そしてそこには、前からの案件の仕事のことと、その続きに(ついでのように)仕事の紹介のお礼が書かれていた。そして二人目のところにも連絡してみると綴られていた。

それっきり彼女からメールも電話もなかった。

どうなったかな〜と心配に思っていたし、たまたま紹介した会社の人と別のやりとりがあったけれど、なんとなく彼女のことが聞けなかった。彼女から連絡したのか、もう会ったのか、会ったけれど断られたのか、一切わからない中で話をするのも失礼だと思ったからだ。本人に確認した上で改めて連絡しよう、と。

2週間以上経ってから、彼女からメールが来た。

「流行りの風邪をひいてしまいました」

そのメールには、返信しなかったことの理由がそのような言葉で書かれていた。紹介した結果は、2社の人にそれぞれ会いに行ったし、機会があったら仕事ももらえるかもしれない!ということだった。そういうことを2週間経ってやっと聞かされたのだ。風邪って2週間ひき続けることがあるのだろうか?と私の心には小さな疑問が芽生えた。彼女にしたら私から紹介されて、すぐに連絡して会いに行った、仕事ももらえるかもしれない、ということで終了してしまったのだろう。

「仕事を紹介する」のは実はとても責任があることだ。仕事を渡すほう、雇う側は「この人の紹介だから間違いないだろう」と思った上で聞いてくれる。お互いの信頼関係があってこそ、初めて成立することなのだ。頼んできた人にはなかなかそこまではわかってもらえない。

こういうことが時々ある。次回はもうやめておこう、と思いながらつい同じことを繰り返してしまう。

 

Illustration:Nao Sakamoto

Image Photo:Antonova Anna/shutterstock