「全てを撮りたい」2人の写真家

まず初めに向かったのは、渋谷のパルコミュージアムで開催中の奥山由之さんの『BACON ICE CREAM』展です。

『GINZA』で特集が組まれるなど、今ファッション誌が最も注目するフォトグラファーの一人である奥山さんですが、実は私、きちんとお仕事ご一緒したことはありません。

ちらっとはあるのですが、いろいろな思いがあって、遠くからこそっと眺めておりました。

会場を訪れると、透明アクリルに木の柱を組み合わせた壁越しにコラージュしたイメージ群が見えます。アクリル越しに見ると色彩の洪水のようにも見え、のっけからセンスがいい。

展示作品は、クライアントワークと個人的な作品のミックスで、被写体もモデルやミュージシャンもいれば日常のなんでもないものもあったり。

しかし全てがフラットで、色彩と光の世界に抽象化されています。展示方法も、白い壁をキャンバスに見立てコラージュしたり、箱のなかに収めたりと、写真展というよりは現代アートのインスタレーショに近い手法で、ヴォルフガング・ティルマンスやマーク・ボスウィックの名を思い起こしもするのですが、不思議と奥山由之の世界になっている。

それはなぜかと思いながら見ていると、答えは展示の最後にありました。

「“初めて“は、みな平等に一度しか訪れません。僕にとってこの数年間は、その“初めて”の連続でした」と始まる奥山さんのテキスト。

写真を始めて5年、そして初めての展示だからできること。写真にも、そして展示にも、25歳の奥山さんの世界を見る新鮮な「眼」が現れていました。

そして奥山さんの会場を後にし、その足で向かったのは、池袋・東京芸術劇場ギャラリー1で展示が始まった森山大道さんの展覧会。

今、『BRUTUS』で森山大道さんの写真特集(2月15日発売)を作成中なのですが、知れば知るほど深く、写真の本質について考えさせるのが森山さんの写真世界です。

展示は3部構成で、森山さんの写真人生における転換点ともなった1983年発表の『光と影』、ウォーホルの影響を強く感じさせるとともに写真と印刷の関係性について考えさせられるシルクスクリーン群『網目の世界』、そしてデジタルで新宿や池袋を撮ったカラーの最新作『通過者の視点』が、シンプルな四角い空間に一堂に会してます。

撮影された年代も、表現手段も様ざま。しかし一貫した、他の誰にも真似できない森山ワールドが展開されています。

森山さんの取材中に出会った言葉に「とにかく撮る」という一言がありました。その時思い起こされたのが、奥山さんと仕事をした友人が言っていた「(奥山さんは)もっともっと撮りたい」という言葉です。

一見、接点のないように思える二人の写真家ですが、「全てを撮りたい」という欲望に突き動かされ、ひたすら撮り続けているという点では同じです。写真とは何かを考えながら、とにかく撮る、そしてその姿勢から写真家独自のスタイル、オリジナリティが生まれるのかも知れません。

森山大道写真展

 

写真展情報:

奥山由之「奥山由之写真展 BACON ICE CREAM」

〜2月7日(3日休)、パルコミュージアム/10時〜21時(最終日は17時半最終入場)

http://www.parco-art.com

 

森山大道「森山大道写真展-Daido Moriyama Photo Exhibition-」

〜2月20日(15日休)、東京芸術劇場5階ギャラリー1/11時〜19時(土日10時〜、最終日は14時半最終入場)

http://www.geigeki.jp