新作と古着の垣根を越える!セブンバイセブンの自由な発想に共鳴する

サンスペルのニット類などを物色した後、筆者は閑散とした売り場のコーナーに目をとめた。大型の金属製ラックには、なんとリネンヘリーボーンの見事なテーラードスーツが掛かっているではないか。その隣には、頭の少々イカレたアーチストなどに似合いそうなブルゾンがある。さらに隣には、古着のデニムをリメイクしたクロージング類。

なんなんだこのボーダーレスな世界観は。でも、なんだかとてつもなく格好いいぞ!

それが、2018年からアングローバルの傘下に入ったセブンバイセブン(SEVEN BY SEVEN。デビューは2015年AWらしい)だったのである。

そこで、不勉強を恥じながら、見逃してきたブランドの新作を見物に、2019SSコレクションの展示会へ、ウキウキ気分で出かけたのであります。

ブランド名のセブンバイセブンとは、7×7マイル(49平方マイル)というほぼ正方形の大きさがあるサンフランシスコの愛称だという。

デザイナーの川上淳也は、20代の頃に、サンフランシスコのディープな古着倉庫に出入りしていて、そこで出会ったさまざまな人々(センスだけは抜群だけど、私的に付き合いたくないアブナイ人も多かったようだ)からインスパイアーを受け、今日のブランドを形成するに至ったという。

川上に影響を与えたサンフランシコは、リベラルな土地柄として知られる。1950年代にはビートジェネレーション。60年代にはヒッピーたちがフラワームーブメントを起こした。70年代には、LGBTが初めて権利を主張した地でもある。

スティーブ・マックィーンの映画『ブリット』の舞台となった坂道の街があり、対岸には映画『卒業』が撮られたカリフォルニア大学バークレー校のキャンパス。

さらにはグレートフルデッドを代表とする多くのロックアーチストを輩出。

近郊にはシリコンヴァレーも存在する。

今回の展示会で筆者が気になったアイテムは、デビュー時からディテールを少しずつ進化させながら作り続けているリワーク・デニム・トラウザーズ。これは、古着のジーンズを丁寧に手間をかけて一度バラバラに解体し、5ポケットのデザインを新たにスラッシュポケットのスラックス型に再構築したもの。

古着のリメイクは、筆者も遊びでよくやるのだが、この品はパターンも、生地のアタリをうまく生かしたセンスも抜群で、デザイナーの古着に対する深い愛情と理解を感じてしまう。

パターン的に感心した点をいえば、パンツのシルエットを美しく出すために、プレスラインにそってデニム地のたて地の目を通している。そのために、あえてセルビッチ(赤耳)を犠牲にした裁断に、プロの高い意識が潜んでいると思う。

またベルトレスのデザインには、スティーブ・マックィーンが愛用していたリーヴァイス(そういえば本拠地はSFだ)のスタプレへのオマージュも在るのではないか。

意外に感じたのはテーラードジャケットだった。セールで見たリネンスーツのトラディショナルなシルエットと打って変わって、今回はレーヨン製の4個ボタンロングジャケット。こちらは、50年代のボールドな匂いがあり、デザイナーの懐の深さがうかがえる。

さらに、「これは自信作です」と川上が推したのは、ドルマンスリーブのチェックシャツだ。レーヨン製なのだが、極めて打ち込みの強い生地を特別に織らせて使用しているので、見たこともない上質な素材に仕上がっていた。

このシャツに2タック入りの太めなデニム・トラウザーズを合わせると、あたかもビートニクスのニール・キャシディのような雰囲気が出るから、好きな人にはたまらないであろう。

サンフランシスコのさまざまなカルチャーを自身のなかに培養して、新品も古着もボーダーレスに展開するセブンバイセブン。

エンジニアガーメントを継ぐ若い世代から、日本人発のこだわりのアメカジデザインが創造されたことは、まことに喜ばしい限りである。

Photo:Shuhei Toyama