古くて新しいマルセイユ石鹸!マリウス・ファーブルのパリ店

オリーヴのモティーフが描かれた「ブティック・マリウス・ファーブル」の入り口。/Photo:Ayako Goto

マルセイユ石鹸といえば72%のオリーヴオイルを使用したフランスの伝統的な石鹸として認識されている。サイコロ状のキューブ型をしていて、石鹸や箱の面に「SAVON DE MARSEILLE」(サヴォン・ドゥ・マルセイユ)という刻印のほか、「A L’HUILE D’OLIVE」(オリーヴオイル)、「72% D’HUILE」(72%の[オリーヴ]オイル)という文字も大きく刻印されているのでとても分かりやすい。

ブティック・マリウス・ファーブルでは、石鹸の成分やハンドメイドの製造方法だけでなく、石鹸のデザインも全く昔と変わらない。そればかりでなく、お店に置いてある棒状の(四角い箱型の)自分で切って使う石鹸も、また石鹸を削ってまるでカンナ屑のように見える、お湯に溶かして使う石鹸(洗濯や皿洗いのときに)もあって、店内はタイムスリップした空間にいるようなしつらえで、ノスタルジックそのものである。

今だからこそ、こんな昔ながらの作り方で作った、本当に良いものが見直されるのだろう。大きな棒状の石鹸をカッターで切りながら使うなんて、何て新鮮なこと!と思ってしまう。その上、ピュアな天然素材でできているから、繊細肌の人にもアレルギー肌にも、赤ちゃんにももちろんいいし、普通の人が顔を洗うときに使っても使用後につっぱり感がないのだから、極上の製品と言っていい。

四角い棒状のマルセイユ石鹸は針金のついたカッターで切る。/Photo:Ayako Goto

こんなにもいいことづくめのマルセイユ石鹸、それではその歴史について触れてみよう。

マルセイユ石鹸は1000年以上前からフランスで製造されている。この頃、日本ではどうだったのか気になるところであるが、ここではひとまず置いておこう。マルセイユは17世紀には高級石鹸の産地として確固たる地位を確立。何故、プロヴァンス地方で石鹸づくりが栄えたかというと、オリーヴオイルの豊かな原料に恵まれていたことが大きな要因となったからだ。

しかし時の経過とともにマルセイユの名を冠した粗悪品も出回るようになり、その対策としてルイ14世の時代にコルベール財務総督の勅令が1688年に出され、「マルセイユ石鹸という呼称をつけていい製品」の条件が決められ、制度化されていったのである。これにより、石鹸の質は上がり、マルセイユは良質な石鹸の一大産地として名を馳せることになった。

1855年のパリ万国博覧会では、「マルセイユ石鹸」に金メダルが授与された。しかしこのマルセイユ石鹸はオリーヴオイルから作られたものではなく、ピーナッツ油とパーム油(ナツメヤシ)がベースの石鹸だった。この頃になると、ルイ14世の時代の勅令通りでなくても「マルセイユ製法」で作られていれば「マルセイユ石鹸」を名乗ることができるようになっていたそうだ。

マルセイユ石鹸を製造する現存の企業で一番古いのが「マリウス・ファーブル Marius Fabre」である。創業は1900年なので今年は118年になり、製造をしている本社はマルセイユの北西に位置するサロン・ドゥ・マルセイユという町にある。創業以来、伝統的な製法でマルセイユ石鹸をずっと守って作っていて、現在、マルセイユ石鹸メーカーは20数社ある中で、伝統的な製法で作っているところは他に2社のみなのだそう。

マリウス ・ファーブル家代々の写真が店内の壁に飾られて。/Photo:Ayako Goto

マリウス・ファーブルのマルセイユ石鹸の特徴は、植物油だけを用いていて、香料も合成物も着色も一切していないこと、素材はオリーヴオイル、パーム(ナツメヤシ)、コプラ(ココ椰子)、ソーダ、塩。石鹸の色はオリーヴ色と白。オリーヴオイルを使うとオリーヴグリーンに、パームとコプラを使うと白になる。したがって、マリウス・ファーブルのマルセイユ石鹸の色はオリーヴグリーンと白の2色である。

いずれにせよ、天然成分のみでできているので、洗顔、お風呂、洗濯、食器洗いと、どんな用途にも使えるのが嬉しい。

Photo:Ayako Goto

■店舗情報

Boutique Marius Fabre
26, rue de Turenne 75003 Paris