NASAと共に火星の家を作る、気鋭の建築集団(前編)

Photo:Akiko Ichikawa

THE NEW YORKERS #10: Masayuki Sono & Ostap Rudakevych

この7月31日、地球と火星が大接近する。その距離は5576万km で、6千万キロメートルよりも近くなるのは約15年ぶりとのこと。太陽系に並ぶ惑星の中で、地球の隣にある火星だが、 あと20年ほどで人類が降り立ち、そこで農作物を栽培しながら生活を営む、そんな夢物語のようなことが実現するらしい。ちなみに飛行時間はロケットで飛んでも6〜9ヶ月はかかるそうだ。

ニューヨークの建築事務所「CLOUDS Architecture Office」の代表、曽野正之とオスタップ・ルダケヴィッチは今、NASAと提携しながら2030年代を目指し、4名の宇宙飛行士が約1年間住むことのできる火星の住居をデザインしている。

きっかけはライト兄弟が飛行機を発明して100周年に際して公募されたコンペをルダケヴィッチがNASAのツイッターで偶然見つけたことだった。「もともと僕らは宇宙建築に興味を持っていて、数年前から独自のリサーチをおこなっていたから、願ってもないチャンスだった(ルダケヴィッチ/以下R)」。

Photo:Akiko Ichikawa

地球からは建築資材を持っていけないので現地調達できること、また3Dプリンターを使って飛行士たちが到着するまでに完成できることなど物理的な条件をクリアしての彼らのプランは“水”を主な資材とした氷の家だった。

「火星の気温は平均マイナス40度だから、氷を作るのは容易。それでも水に着目したのは僕らだけで、他は土を使った洞窟のような家、機械的でテクノロジーが先行したものが多かったみたい。一方で僕らのプランは技術だけでなく人間が住む場所としての快適さ、そして造形的な美しさも追求したものだった(曽野/以下S)」。