ウォッシャブル・ニットポロシャツから見るユニクロのオリジナル性とは!?

筆者も試してみたが、ユニクロのニットポロを裏返しにして洗濯用のネット袋に入れ、脱水時間を最短に設定してから洗濯し、平干しすれば、型くずれや色落ちもほとんどなく、ホームクリーニング可なのである。

しかも価格は、高名ブランドの1/10以下。

ただし品質を比べると、生地の光沢、ソフトな肌触り、袖や衿まわりの減らし編みの丁寧さなどは、さすがに高額品のほうが上に決まっている。だがユニクロはこれで、普段使い、あるいはクールビズなどにはまったく支障のない製品に仕上げている。

つまりウォッシャブル・ニットポロシャツは、これまであった上質なニットポロとラコステなどで有名な鹿の子編みポロの透き間を埋めた、いわばお洒落着と実用着の両方の良さを適度に取り入れた新定番商品という位置づけになるのではないか。

お洒落着と実用品の隙間をついたウォッシャブル・ニットポロ/Photo:Shuhei Toyama

先日、イタリアのスローウエア・グループの展示会へ行ったら、インコテックスのストレッチパンツがホームクリーニングを売り文句にしていて、驚かされた。

現代は、ラクジュアリーブランドであってもハイテク素材やホームクリーニングを積極的に取り上げる時代になったのである。

前出したトーマス・マイヤーやJ.W.アンダーソンといったファッションデザイナーらは、「ユニクロの製品作りにはオリジナル性があるから」、と共働の理由を新聞などで述べていた。ならば、ユニクロのオリジナル性とは何なのだろう。それを探るために、ユニクロのこれまでを簡単に振り返ってみたい。

ユニクロが経営土台を盤石にしたのは、フリース製品のヒットからと一般的には考えられている。しかしファッション業界がユニクロの存在に脅威を感じたのはそれ以前、たしかMA-1を売り出した頃ではないだろうか。このナイロン製ミリタリーショートジャケットの質と価格を見て、目ざとい業界人は、ファーストリテイリングの株を買ったり、それまで勤めていたラクジュアリー企業からユニクロへの転職を希望し始めたのであった。

だがこの当時のユニクロには、まだ真のオリジナル性はなかった。良質な素材と手抜きの少ない作りを保持しながら、それを大量に製造することで価格的なアドバンテージを得る。従来のファストファッションの手法の域を脱していないかったわけである。

その後も、ユニクロの安価並品大量生産システムは功を奏し、オツクスフォードのBDシャツ、各種アンダーウエア、スーピマコットンのTシャツ、ジーンズなどのヒットを飛ばしていく。

そしていよいよユニクロ最初のオリジナル製品が登場する。それが保温下着ヒートテックだ。ヒートテックは、外観デザインでなく、テキスタイルの設計にこそオリジナル性があった。この成功を機に、ユニクロは新たな成功の方程式を見いだしたのだと思う。

新奇なデザインを追いかけるZARAやH&Mなどと異なり、ユニクロは常にトラッドをベースにしている。その意味でユニクロは、フッションの正統派といえよう。

そんなユニクロがオリジナル性のある製品を生み出すには、過去に在ったトラッドウエアのデザインをあらゆる点で再検証し、そこに改良の余地を見いだす手法であろう。ちょうど、ニットポロシャツをマシンウォッシャブル可に進化させたように。

ただし、筆者のような業界人が、これはイイ、というようなオリジナル製品は案外売れないし、評価に時間をかかるものである。

しかしそれを見越して、進化した新定番、オリジナル性あるライフクローズを今後いくつも根付かせていくこと。

まさにその点にこそ、著名ファッションデザイナーたちが評価する、ユニクロの存在価値があるのだから。

Photo:Shuhei Toyama