スクリーミン・ジェイ・ホーキンスのおどろおどろしい歌声がカセットテープレコーダーから響くジム・ジャームッシュ監督作品『ストレンジャー・ザン・パラダイス』

オトコ映画論#106

『ストレンジャー・ザン・パラダイス』
Blu-ray 2,800円+税/DVD 1,800円+税
発売元:バップ ©1984 Cinesthesia Productions Inc.

ジム・ジャームッシュ監督作品『ストレンジャー・ザン・パラダイス』(1984)
×スクリーミン・ジェイ・ホーキンス『アイ・プット・ア・スペル・オン・ユー』

監督のジム・ジャームッシュは、17歳でニューヨークに出てバンド活動を開始。その後、作家を志してコロンビア大学文学部へ入部した。故郷のオハイオ州では映画をあまり観てなかったが、1974年にパリに9ケ月滞在した時にジャン=リュック・ゴダールやフランソワ・トリュフォーや小津安二郎や溝口健二といったヨーロッパや日本の映画作家を発見。同時にサミュエル・フラーなどのヒップなアメリカの映画にも触れた。

ニューヨークに戻ったジャームッシュは映画作家として物語を綴り始めると、1975年にニューヨーク大学大学院の映画学科へ再入学する。そこで師となる伝説のニコラス・レイ監督と出逢い、彼の監督助手を務めることになった。

そして在学中に最終学期の学費をすべて注ぎ込んで卒業製作として、『パーマネント・ヴァケーション』(原題Permanent Vacation)という16ミリを製作する。これを高く評価したロードムービーの映画作家ヴィム・ヴェンダースから、40分ほどの長さの余ったフィルムを譲り受けたジャームッシュは、ニューヨークを舞台にした30分の短編映画を撮り上げる。ヴェンダースはせいぜい5分程度の作品を期待していたので、たいそう驚いたそうだ。

この作品こそ、3部構成の『ストレンジャー・ザン・パラダイス』(原題Stranger Than Paradise)の最初の第1部である「新世界(THE NEW WORLD)」だった。貴重なフィルムの無駄遣いを避けるため、入念なリハーサルを繰り返したった2日間、8,000ドルで製作した。

この30分の短編がオランダのロッテルダム映画祭に出品されると、協力者の援助でそれぞれ30分ずつの残りの2部、第2部「1年後(ONE YEAR LATER)」と第3部「パラダイス(PARADISE)」を撮り上げて、長編映画に仕上がった。総製作費は実に12万ドル。