ネオ・ビート・ノワール・コメディ『ダウン・バイ・ロー』はモノクロの美学があり、トム・ウエイツの歌とともに始まる!

「ダウン・バイ・ロー」とは、1920年代に南部から北部に移った黒人たちが街に馴染んだ時に「自分たちでやっていける」という意味で使ったストリートトーク。その後、1970年代まで黒人社会と刑務所の中で口にされ、「アウトサイダーだから信用できる」という意味になった。また、ミュージシャンにも受け継がれて、「気が合う仲間」という感覚のアウトロースラングとしても使われる。ジム・ジャームッシュだからこそタイトルに出来た。

ニューオーリンズ。元ラジオDJのザック(トム・ウェイツ)は新しい仕事も見つからず、無為に日々を過ごしている。ある夜、ザックは同棲中の恋人ロレッタ(エレン・バーキン) に愛想を尽かされ、アパートから追い出される。行き場のないザックは、アパートの下で時間を持て余す。

ポン引きのジャック(ジョン・ルーリー)は、金にだらしがないことを売春婦のボビーに嗜められている。ジャックと不仲のチンピラのギグ(ロケッツ・レッドグレア)が、ジャックの家を訪ねてくる。ギグは、仲直りの証としてある美女を紹介するという。ギグの話に半信半疑のジャックは、ひとまずその女に会うことにする。ジャックは女がいるという部屋を訪れる。ベッドにうずくまっていた女が顔を上げると、まだ幼い少女である。ギグの罠にかかったジャックは、突如踏み込んできた警官たちによって、幼女買春の罪で逮捕される。

アパートの下でぼんやりしているザックに、マフィアのプリストンが相談を持ちかける。プリストンは、ある車の移送に1,000ドル払うと話す。プリストンの依頼を受けたジャックは、上機嫌でジャガーを預かる。街中を走行中、ザックはパトカーに止められ拘束される。警官がジャガーのトランクを開けると、男の死体が入っている。ザックは、無実の罪で逮捕される。

ザックは刑務所で鬱々とした日々を送っている。ある日、ジャックがザックの監房に入ってくる。ソリが合わない2人はいがみ合う。ある時、ジャックは、会話の端からザックが元ラジオDJであることを知る。ジャックにせがまれ、ザックはDJ風に語って聞かせる。ジャックはザックに感心し、2人の距離は縮まる。

『ダウン・バイ・ロー』Blu-ray 2,800円+税/DVD 1,800円+税
発売元:バップ ©1986 BLACK SNAKE Inc.

数日後、イタリア人旅行者のロベルトがザックたちと同じ部屋に収監される。アメリカの詩人ホイットマンやフロストがお気に入りだ。ザックとジャックは、英語が上手く話せないロベルトを相手にしないが、ロベルトはメモ帳片手にカタコトの英語で語る。やがてロベルトの持ち前の人当たりの良さに影響され、ザックとジャックは次第にロベルトと親しくなる。しかし人の良いロベルトが、実は殺人罪で投獄されたことを知り、ザックとジャックは驚く。

ある日、ロベルトは監獄の庭に抜け穴を発見する。ロベルトはザックたちに抜け穴のことを話し、3人は脱走を計画する。数日後、ザックたちは抜け穴を通って刑務所から脱出する。3人は、大きな沼の畔に辿り着く。3人組の森と沼をかき分ける空腹の逃走が始まった。

警察の追跡から逃れるため、ザックとジャックは沼を泳いで逃げ切ろうと考える。泳げないロベルトはその場に置き去りにされる。しばらくすると、落ち込むロベルトのもとにザックとジャックが戻ってくる。沼には多数のワニが生息しており、2人は泳いで渡ることはできなかった。

ザックたちは沼を迂回して森を歩いて抜けることにする。3人は半壊した小屋を発見し、一夜の宿にする。眠りにつく前、ロベルトはこのままテキサスに行きたいと話す。テキサスの危険性を知っているジャックは、ミシシッピーに逃げるべきだと主張する。疲弊しきった3人はそのうちに寝入ってしまう。