花のトレンドは自然を感じさせるシャンペトゥル(田園風)

シャンペトゥル・スタイルのパリの花屋さんのブーケ。/Photo:Ayako Goto

では、シャンペトゥルとはどんな植物やアレンジメントを指すのであろうか? 例えば自然の風景を想像するような、光や風を感じさせるブーケとか、田舎に行って道端に生えている草や野原に咲いている花を摘んで、それらをさっと束ねたような自然なブーケなどがあげられるだろう。

シャンペトゥルの草花と繊細なスイートピーを組み合わせたパリの花屋さんのアレンジメント。/Photo:Ayako Goto

また、いわゆる雑草と庭に凛とした姿で咲いている花との組み合わせもできるし、緑をたっぷりと使ってざっくりとまとめても素敵になるだろう。

ここで「さっと束ねる」とか「ざっくりとまとめる」と表現したが、実はバランスよくいかにも自然な感じに仕上げることは、簡単そうでいて難しいのだ。しかしいちばんのポイントは、野原にあるように植物と植物の間に少し空間をもたせて仕上げることだ。そして花や草が揺れ動く様を想像してみよう。あたりに漂う空気感が気持ちを和ませてくれることだろう。

先日、神楽坂にある人気の花店「ジャルダン・ノスタルジック」に行ったら、繊細で美しい切り花に混じって雑草たちも一緒に棚に並んでいた。いわゆる雑草もこうなると雑草という固定概念を捨てなければならないと思った。雑草と呼んで侮ることなかれ、である。

雑草といえどもよく見れば、可憐で個性がある。夏の時期になるとエノコログサ(通称:ネコジャラシ)が我が家のプランターに自然に生育するので、ときどき切っては花瓶に活け、たまにはテラスに咲いているバラを切って一緒に活けたりして楽しんでいる。思えばこれも「シャンペトゥル」である。

花屋さんの店頭で見る雑草は、野外で見る自然のものより少しだけ立派になっているように感じる。日本の花の生産者が作って市場に卸し、街の花屋さんが買い付けて店頭に出ているというわけである。

いわゆるクローバー(トリフォリウム)も今や花屋さんで格上げされて。/Photo:Ayako Goto

フランスでよく見かける「シャンペトゥル」をイメージするものには「グラミネ」(graminée)と呼ばれるものがあり、これはイネ科の植物のことである。東京のジャルダン・ノスタルジックには「ナズナ」(別名:ペンペングサ)があって、それを見た途端、急にタイムスリップして懐かしさがこみ上げてきた。

「シャンペトゥル」の草花がトレンドになってきたことの背景には、身近に自然を取り入れて、リラックスできる時間を充実させたいという気持ちの表れのように思う。

Photo:Ayako Goto