こんなのありか!? 驚くべきアッサンブラージュのモエ・エ・シャンドン「MCIII」

今、フランスのシャンパーニュ地方に来ている。そう、日本では“シャンパン”と呼ばれている、あの泡の出るワインが生まれし土地だ。

シャンパンが生まれたのは17世紀の末、盲目の修道士が……というのはあくまで逸話で、誕生の経緯についてはっきりしたことはわかっていない。ガラス瓶とコルク栓の普及を理由に、英国のシャンパン専門家はしきりにロンドン誕生説を唱えている。

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しかしながら、この盲目の修道僧(彼が本当に盲目だったかどうかも不明ですが)、すなわちドン・ペリニヨンがシャンパンの発展に寄与したことは間違いない。彼はブドウをひと粒味わっただけでその品質を見極め、どの村で収穫されたものかを言い当てたという。そこで彼が思いついたのは、個性の異なる村同士のブドウをブレンドする技術だ。

ある村の黒ブドウは力強いがフィネスに欠ける。ある村の白ブドウは酸のキレはよいがボディが足りない。ひとつの村のブドウだけでは中途半端なワインで終わってしまいかねないところ、複数の村々のブドウをブレンドすることで理想の調和へと導く。つまりドン・ペリニヨンこそ、「イイトコドリ」の先駆者なのだ。

今やシャンパン造りにおいてブレンド、フランス語でいうところの「アッサンブラージュ」は欠かせない技術となっている。ブドウ栽培の北限に位置し、毎年良好な実りが得られるとは限らないこの地方。異なる村や異なるブドウ品種の組み合わせばかりか、異なる収穫年の原酒を組み合わせて全体の調和を図る。とくに「モエ・エ・シャンドン」や「ヴーヴ・クリコ」といった大手メゾンは、つねに一定の品質とスタイルを保たねばならない。各メゾンの醸造責任者がもっとも気を使うプロセスこそアッサンブラージュなのである。

そのアッサンブラージュにおいて「こんなのありか!?」と驚かされたシャンパンが、モエ・エ・シャンドンの「MCIII」だ。

画像提供:MHD モエ ヘネシー ディアジオ株式会社
MCIIIはシャンパンの巨人が20余年の歳月をかけて開発し、満を持して市場に投入したウルトラ プレミアム シャンパン。漆黒のボトルにシルバーエッチングの装飾という、ラグジュアリー感満載のパッケージングからも只者でないことがひしひしと伝わって来る。

しかし驚くべきはアッサンブラージュのその内容。それこそMCIIIの「III」の意味するところだが、I.メタルの層=ステンレスタンクで醸造された2003年をベースに、II.ウッドの層=オークの大樽で熟成させた2002年、2000年、1998年のリザーヴワインを加え、そしてさらにIII.ガラスの層=ボトルに詰められて熟成中の1999年、1998年、1993年が組み合わされる。

メタルの層は果実の風味をそのまま表現し、ウッドの層はナッツやドライフルーツのフレーバーを、ガラスの層がいわゆる第三のアロマと呼ばれる焙煎香や蜂蜜などの香りを醸し出す。

これだけでも十分イイトコドリだが、組み合わされるヴィンテージにも大きな意味がある。ウッドの層の2002年はリッチネス、2000年はフレッシュネス、1998年はエレガンスの年であり、ガラスの層も1999年のリッチネス、1998年のエレガンス、1993年のフレッシュネスが組み合わされている。土台となるメタルの層はきわめてリッチでパワフルな2003年。つまり各ヴィンテージのイイトコドリなのだ。

これらの原酒がアッサンブラージュののち、ボトルに詰められ二次発酵。10年の瓶内熟成を経て完成したMCIIIを、初めて味わった時の感想は、松田優作ではないが「なんじゃいこりゃ!」であった。

フレッシュなのに熟成感があり、複雑なのに調和がとれている。互いに相容れない要素が一本のボトルの中に詰まっているアンビバレントさ。MCIIIはイイトコドリの権化のごときシャンパンであった。

いいものを集めて編み直し、新しい「いいもの」をつくるということは、多用多面的に広がる暮らしをより豊かにするための知恵の進化なのではないだろうか。いま様々な世界のなかで、これからの名作となるような“イイトコドリ”が、多数生まれはじめている。

そんな“イイトコドリ”、クルマで言うと……

280馬力。7速DSG。四駆。先進テクノロジー。広さ。ユニークなデザイン。
そんな“イイトコドリ”なクルマ、それがArteon(アルテオン)。
そろそろクルマ選びも、こだわりや見栄に固執した、一点豪華主義みたいなのはやめません?
これからはこういうほうがカッコいい!!
フォルクスワーゲンのいいところ、ぜんぶ。
The New Arteon