酒蔵の“元旦”、10月1日は『日本酒の日』!?

とは言え、日本酒が10月1日を一人占めするわけにはいかないようで。「コーヒーの日」「醤油の日」「ネクタイの日」「メガネの日」「香水の日」「食文化の日」「デザインの日」等々、この日は実に多くの記念日でもあるようです。それぞれの理由も気になるところ。例えば「メガネの日」ですが、10月1日を漢数字で書いてみると「一〇〇一」。確かにまるでメガネの形そのものです。

では、「日本酒の日」はどうして10月1日になったのでしょう? これには大きく二つの理由があると言われています。一つ目はやはりその形にヒントあり。「酒」のつくりである「酉」は、もともと酒を入れる容器を現す象形文字であり、そこに液体を表す“さんずい”がついて「酒」という文字になりました。この「酒」の元となった「酉」という文字は、十二支の10番目。そこから酒と10が結びついたのです。

二つ目は、酒造年度の由来です。酒造年度とは英語でBrewing Yearと言い、会計年度や学校年度と同様に一般的なカレンダーイヤーとは異なる期間を区切りとしています。この区切りが1965年以前はお酒造りのはじまりとなる10月1日から翌年9月30日までとなっていたのです。そのため、10月1日が日本酒の日として制定されたというわけです。ちなみに、現在の酒造年度は7月1日から翌年6月30日に変更されています(新米新酒の造りが10月より早くスタートするケースもあるため)。Brewing Yearは略してBYという表示でお酒のラベルに記載されていることも多いのでご覧ください。

ところで、今年の10月1日にはもうひとつ、日本酒関連のスタートがあります。それは酒税免税制度です。ここ数年、訪日外国人の数はまさにうなぎ上りで、2016年は2,404万人を記録。今年も過去最高記録を更新する勢いの訪日外国人に「訪日前に期待していたこと」を調査したところ、なんと22%もの人たちが「日本のお酒を飲むこと」を挙げたそうです(出典:観光庁「平成28年訪日外国人消費動向調査」)。

このような外国人は日本での日本酒体験を楽しみにしており、地方の酒蔵巡りにも積極的に足を運びはじめています。今回の制度はそういった酒蔵の販売所(注1)でお酒を購入する際に、酒税が免税になるというものです。このような制度が「日本酒の日」にスタートするのも、やはり節目となる日だからこそと言えましょう。

酒蔵にとって10月1日は、「元旦」とも言える大きな記念日。この日を盛大に祝すべく、業界では2015年より「全国一斉日本酒で乾杯!」プロジェクト(注2)を進めています。日本酒の日に、日本中で、日本酒で乾杯しようというもの。日本酒は日本の國酒でありますが、実際、乾杯酒は違うお酒という人も多いご時勢。しかしながら、乾杯とは皆さんのご多幸を祈念して行うもの。祈りは日本の神様に向けられています。であれば、乾杯は日本の酒でこそふわさしい。そんな乾杯の意義を「日本酒の日」に改めて考えてもらえれば幸いです。

10月1日は日本酒で乾杯。もちろん、10月1日以外の日も日本酒で乾杯!

注1:輸出物品販売場の許可を受けた酒類製造場に限る
注2:「全国一斉日本酒で乾杯!」の公式HP
https://kampai-sake.jp/main/index/

Photo:Rumiko Obata